語い力とリードアラウド

 「英語の本を読んでいると英語力がつく」と一般的にいわれる。わたし自身は実感していることなのだが、主観的なので納得できない人たちもいるだろう。そこで、こんな一般論を客観的に証明しようと、いろいろな学術的論文が発表されている。

 そんなひとつ、Literacy Promotion in Primary Care:Can We Make a Difference?”(Pamela C. High, MD, et al., Pediatrics105, No.4, April 2000)の要旨を読んだ。

 要旨の要旨はこうだ。生後5ヶ月から11ヶ月の子どものいる205の低所得家族(「絵本を普段は買わない」層と考えるのだろう)が対象。この半分の家庭に絵本とその資料と個々に指針を与え(Aグループ)、それを与えなかった残りの家族(Bグループ)と比較した。

わかったこと: 
1. 語彙の中で、receptive vocabularyと呼ばれる、まだ会話で使えないが聞いて理解できる、つまり認知できる語彙がある。その語彙が、Aグループでは40%アップしたが、Bグループでは16%だった。

2. Aグループの親は、Bの親より頻繁に子どもに読んで聞かせ(read aloud)た。

3. Aグループの親も子も、read aloud が「好きなアクティビティ」と認識した。

ここから、「(幼児の)親に本を与え、その読み方を指導し、それをすることの良さを伝えるだけで、子どもの語彙力を向上させることができる」という結論を研究者たちは導き出した。

わたしのリードアラウドでは、本を私有してもらい、それを家庭でも読むこと、そしてその本の「てびき」を親御さん向けに渡すということをしている。「それが何になるんですか?」という疑問があれば、ここで紹介したような研究論文が、その意義を少しは明らかにしてくれるのではないだろうか。

両親ともに忙しく仕事をしていた家庭に育ったものとして、そして自分も同様に忙しい家庭で子どもを育てたものとして、子の英語の勉強への親の関与は、大変だがとても大切だと思う。でもリードアラウドなら、寝る前のほんの5分でも出来るのである。

新春からは、これまでよりもう少し積極的に親の参加を求める、リードアラウド親子講座を開始する。そして、そういうスタートを切った子どもたちが徐々にどう成長して行くか、みていけたらと思う。まずは第1歩の、この親子講座に興味を持って下さる親子がいますように……。

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