This Is It! これだ……

 もう一度、別の人間に生まれ変われたら、運動神経とリズム感と音感のいい人としての人生を生きてみたい。今朝、マイケル・ジャクソンのThis is It を劇場で見たあとで思った。

 目尻からつーと涙が出っぱなしの約2時間だった。Rolling Stonesのドキュメンタリー、Shine the Lightを見たのは太平洋を飛ぶ飛行機のなかだったので、勢いで続けてその映画を3回見た。今回は、勢いはそれ以上だったのだが、入れ替え制の劇場だったのでそれも叶わず。

そのまま、ぼう〜とタワーレコードへ行ったら、似たような年頃の男性がぼう〜とマイケルのCDとThis Is Itのデスプレイの前に立っていた。ぼう〜と、人生や青春を思っている後ろ姿……、ちょっとそこで並んで立つのをためらった。なんかなあ。

This Is ItのCDを買ってもよかったのだが、そこで視聴する同世代に意味なく見栄を張って、「強い意志を持って(決してミーハーでなく)これを買いにきた」という演技をしながら旧作Dangerousを買って帰宅。

 This Is Itは、マイケルが亡くなる前に予定していたコンサートのリハーサルをまとめたドキュメンタリー。「ああ、これだよ!(オレが目指してきたのは)」と、このコンサートに雇われたミュージシャンやダンサーへのインタビューで、誰かが言った。This Is It!……そこで、また涙がぼた。「物心ついたときからのヒーロー」「同じ舞台に立てるなんて…」「人生の頂点に立ったみたい」「マイケルのために最高の踊りを見せるよ」、いろんなことを言っていたが、どれも喜びと感謝だ。

 実は仕事の合間に、マイケルの分厚い自著伝(Moonwalk)一冊と、もう一冊はジャーナリストが書いた批判的な伝記を読んだ。かなり苦しい人生でもあったのを、そこで知った。でも、この映画で見る限り、マイケルは自分の天分を知ってそれを最高と思われる環境で余すことなく表出し、人々に感動や希望を与えている。この人生、そう悪くなかったじゃない。

 Michael, this is a church!
リハーサルを聴いていた出番のないスタッフたちが興奮して総立ちの様を見て、監督がうわずった声で思わず叫ぶ。そしてI’m a fan..ともつぶやく。そうだ、これは、見るもの聴くものを虜にするマイケル教だ。マイケルは音楽とダンスの喜びを伝える伝道師だったか……。
Moonwalk
『Moonwalk』

On Michael Jackson
『On Michael Jackson』

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