秋も深まり、読書の秋におせっかいながら勧めたくなった本がある。
NYタイムズのベストセラー(ジュニア本)リストに長く残っている1冊が、これ。
『The Absolutely True Diary of a Part-Time Indian』
ワシントン州のインディアン居留区から越境して、オール白人の高校に通うことを選択した高校生男子の自伝的な小説だ。インディアンが居留区内でどんなことを思い、どう暮らしているのか。白人社会をどう思っているのか。白人社会に入るそぶりを見せた仲間に、どう反応するのか。自虐的なユーモアと真実、そして希望が、軽妙に日記風綴られた傑作。イラストは、高校美術部員の落書き風で、大人には懐かしい。
『Three Cups of Tea: One Man’s Journey to Change the World… One Child at a Time』
アメリカに反イスラムの暴風が吹き荒れた時期に、パキスタンの貧村に学校を立てることに邁進したアメリカ人青年グレッグの軌跡を綴ったノンフィクション。3杯目のお茶をすすめられるのは、イスラム社会では家族並みに扱われた証拠で、グレッグはこの貧村の村長から3杯振る舞われるほど信頼された。タリバーンに誘拐されてもやめなかった学校建設は、1校から始まって、今や1500校を越す。ノーベル平和賞に公式ノミネートもされ、応援していたのだけれど……。
『Listen to the Wind』
グレッグの軌跡を、絵本にしたもの。
『Truth: Personas, Needs, and Flaws in The Art of Building Actors and Creating Characters』
有名演技コーチの「演技とは」を書いた本で、書評を読み、気になって取り寄せた。タイトルは、自分のなかの真実を演じるというモットーからとられたらしい。女優のNicole Kidmanのコーチでもあるが、演技派と言われ出した女優がこう書いている。「I can’t create unless I have truth-I have to feel it」。これは、本書の著者から学んだことだという。これで、またリードアラウド芸に磨きをかけられるかも。