指導者向けワークショップでDog & Bear:#5報告

 180分のWSだけで1作品を仕上げるのは、なかなか大変だ。WSのときまで、それぞれが自分なりにやってきたことを、WSで客観的に見てもらい、それを修正し、よりよいものにしていく。人の反応のあるところで発表すると、それまで見えていなかった弱点が自分でわかったりもする。

 今回は、かなり各自の読み込みがしっかりされていたようだ。英語そのものでひっかかる姿は、もうすっかり見られなくなった!そこだけでも、もう「プロ」だ。とはいえ、この「プロ」は今の日本の英語教育界の「英語読み聞かせ」レベルでの話。または、英語圏の親たちレベルでもある。
ここまでは、#5のWSの参加者は全員クリア!

 残るは、表現者への道。相手に聞かせるのだ。hearしてもらうだけでなく、listen to。おまけにわたしたちの聴衆は、反応が正直な子どものことが多いので、彼らを飽きさせないほど魅力的でなければならない。

 今回のWSで特に思った、今後魅力的なreaders-aloudになるための、いくつかのポイントを挙げる。

声の響き:よく響く声になると、60分読んだり語り続けても、のどが痛くならない。これは、急にはよくならないので、毎日訓練する。あごを引きすぎず(本を下に持つので、あごを引きがち)、声がのどから自然に出るようにこころがけ、しっかりはっきり演技もつけて読む。これが発声練習になる。

顔と声の表情:すでにかなり豊かだが、一本調子のためか違和感を感じることがたまにある。違和感は、聴衆が「引く」原因。ちょうどの調子を知るには、自然の場面の観察がとても役に立つ。このDog & Bearは、子ども同士の会話からいいヒントが得られる。

声も大きくするだけでなく、ささやいたり、ため息まじりに言ったり、一瞬間をおいて出すとか、わざとつっかえたり。ずいぶん工夫のあとが見られた。ただし、自分が「このくらい」と思う以上におおげさに。また、そういう見せ場の直後、少し間をとり、聴衆に見せ場だったと気付かせよう。

読みながらのジェスチャーについて:
longなどなら、「loooooong」と読んで長そうなことを想像させられる。slideや、come closer などでは、何人かが実行していたように、体を使って見せるのも有効だ。またそうしたフリをつけていることで、自然に読みに間がうまく入って、聴衆が物語について行きやすくなる効果もあるだろう。
Take one step で一歩前に進む。そうすると、次に続くOne little, tiny step を読むまでに、いい間がとれる。

下にいるdogは、上を向いて声を出し、上にいるbearは下に向って話すなども、その動作をすることで、2役の差をさらに際立たせることもできる。すでにやっている人も、「さあ、ちょっと違うことをするゾ」と観衆を意識して、堂々と。何メートルの椅子の上なのか、想定して。高さを変えて、遊ぶこともできる場面だ。

Play with me!では、目の演技のほか、じれるように手足をばたつかせたり、実際に動作をすると声の表情も豊かになる。
本を読んでdogを諭そうとする場面では、bearのせりふのたびに、本を開ける動作をするのも、2役の声の差が出にくい時に、役の差を際立たせてくれるだろう。

楽しみながら、いろんなバリエーションでやってみて。読み聞かせる相手をみつけ(または密やかに)、「今日はこういう設定で」(けんかの後、とか年齢を変えたり、男女にしてみたり、知っている誰かと誰かにしたり)といろいろ設定を変えてやるのも楽しい。

いぬとくま いつもふたりは
『いぬとくま いつもふたりは』
Dog and Bear: Two Friends Three Stories『Dog and Bear: Two Friends Three Stories』
 

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