指導者向けワークショップ#4(その2):翻訳版でついた表現力が英語版に乗り移る

 中西先生によるワークショップで、声のキャッチボールをしたり、心を開く一種の「柔軟体操」後、目覚ましく『あおくんときいろちゃん』の朗読がうまくなって迎えた第2時限目。わたしと『Little Blue and Little Yellow』をリードアラウドする番だ。

 中西先生のおかげ! みんなの声や心の柔軟さが違っていた。2時限目開始時から声が違う。翻訳版でほぐした心が、英語版に乗り移ったらしい。

 とはいえ、のっぺらぼうの部分がまだ散見される。ただ書かれている文字を、文字として読むだけのところだ。たとえば「Little」ひとつとっても、「あ〜、ちっちゃくてかわいいんダ。なんてかわいんだろう」と、具体的にLittle Yellowという子をイメージしながら声に出す。Little Yellowの両親は、どんな顔でどんな体型で、どんな話し方をするのか。父母の職業や年齢、どんなことを話題にしている人たちか。同様にLittle Blueの両親を、具体的にイメージする。そのお父さんが言ったセリフなのか、お母さんなのか。簡単なのは、知っている人をあてはめる方法。俳優でもいい。誰、と決めてその人になる。(これが「情報を入れる」ということ。)

 公園でふたりが遊ぶ場面では、その公園の作りをイメージする。トンネルくぐりをするが、そのトンネルが何メートルあるのか。山登り、どのくらいの高さで公園のどこにあるのか。トンネルから何メートルくらい離れている? これらの情報を入れるだけで、自然な間が取れる。頭で考えた間は、5秒なら5秒の間で、メトロノームで刻んだような間になってしまうが、公園の見取り図を頭で描いて、そこにふたりを放って自由に遊ばせよう。自然にトンネルくぐりをして、山登りをして、ア〜アと疲れる。これらを頭でイメージするのが難しかったら、その動作をちょっとでもしてみる。たとえばトンネルくぐりの動作を、その場でやって見る。架空の山登りをするジェスチャーをしてみる。

 これらのことを、この日のみなさんにその都度、伝えてみた。するとその場でつるっと、一皮もふた皮もむけたのを目撃した。素晴らしい。そう思ったのは、わたしのひいき目だけではないだろう。

 このような、指導者としてのわたしたちの表現力が、子どもたちを「教えずして教える」力になる。「tiredは疲れた、という意味」などと、わざわざ言わなくとも、見るからに疲れていればいいのだ。また、そういう説明をつけたとしたら、それが様子としっかり結びつくから、頭に残りやすい。

 さあ、わたしたち! 恥ずかしがらずに、思いっ切り表現してみよう。言葉に感情を乗せることができれば、言葉はうまく伝わる。やりやすい母語、日本語にまず乗せられたら、それを英語にそのまま移動させる。そしたら、その英語を聞いた人たち、英語の初心者たちや、ネイティブの人たちにも、意味がすっと伝わる。

 次回のWSは、『Dog & Bear』。イヌとクマに自分をシンクロさせて、それこそ自分にイヌとクマが乗り移るまで練習を重ねよう。少なくとも、正確に間違えずに読めるまでは読み込むこと。間違えなくなったら、役に没入してセリフを言ってみる。1日1回は通して読むくらいの気持ちで。また、心が少しやわらかくなり、開かれてきた今、もう一度、これまでやった本を読んでみよう。驚きがあるかも。次回の皆さんの報告を楽しみにしていよう。

 12月の発表会で、どの本を読むか、何となく心づもりを。または、どの本でも出来るように、こっそり練習をしておいてくださいね!

Little Blue and Little Yellow『Little Blue and Little Yellow』
いぬとくま いつもふたりは
『いぬとくま いつもふたりは』

Dog and Bear: Two Friends Three Stories
『Dog and Bear: Two Friends Three Stories』