「遅さの技法」としての朗読

 また朝日新聞の夕刊である。哲学者・翻訳家の中山元さんの随筆に、朗読と翻訳について面白いことが書いてあった(2009.2.21)。

 「優れたテクストの多くは長い時間をかけて書かれたものであるのに、読む者の目は、しばしばテクストの上を高速で滑走してしまう」。そう、そうなんだ!いくら絵本であっても、出版となれば作家や編集者は推敲に推敲を重ねる。それを読者はさらっと読みがちだ。

 そこで「思考を読み解くためには、遅さというものが大切なのだ」!では、どうすればいいか。著者はこう書く。

「一つはテキストを耳から聞く」こと。著者自身は「テクストを朗読する、そして録音する」「語り終えた言葉を録音で聞く」。こうして他の人が書いた文章のなかの考えが、だんだんこちらの考えと絡み合ってくるという。

 そこで、わたしたちのリードアラウドの練習というのを考えた。リードアラウドすることは、実は本の内容理解を深めているってことなんだと、また納得。リードアラウドは、思考を育てるための「遅さの技法」のひとつだった……。

 ちなみに、遅さの技法の「もう一つは、翻訳してみること」。「外国語を翻訳するという作業は、もとのテクストの言葉と構文を、ぼくたちの思考の道具である日本語の言葉と構文で言い換えていく営みである」!!

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