英語表現に関わる顔と声の表情:エンヤと紀香の会話を読み解く

先日、紅白歌合戦を見ていろいろな発見をしたが、ひとつ、特に興味深い発見がある。「発語している英語文と声や顔の表情がちぐはぐだから、日本人の英語は伝わらない」というわたしの最近の仮説を証明する、いい場面にぶつかったのだ。

衛星放送で、日本の会場にいる藤原紀香さんが、アイルランドにいる旧知らしいエンヤさんに英語で話しかけた。音声が遅れて届いたり、聞こえずらかったしただけならごめんなさい。でも、だいたいこんな会話だった。

エンヤ1「Glad to see you again.」(クールに)
紀香「Great to see you! How have you been?」(語尾上がり、疑問文)
エンヤ2「……Great to see you.」(?という空気。結果、紀香に答えていない)

紀香さんの頭の中は瞬間、「な、なによ!?」。でも、場慣れもしているから、「英語のペラペラ度が示せたからいっか」と、笑顔のまま先に進んだ。
さて、ここで問題。「エンヤはなぜ、紀香の質問に答えなかったか」。わたしの解答はふたつ。

1. 紀香さんがHow have you been?を言ったときの抑揚と、表情(公式スマイル)が、「久しぶり!」を表していなかった。
2. この公共の場で、疑問文としてのHow have you been? は、KYな英語だった。

How have you been! は、「久しぶり、元気だった」となれなれしく言う言い方。FineとかGreatと応える。エンヤさんと仲良しなら、こういうのもあり。でもそれには、相手を懐かしそうに見る顔とbeenに込める声の表情が必要。

How have you been? とこの時の紀香さんのように、語尾を下げて言うと、「これまでどうしてた?」とパーティ会場で、久しぶりに会った仲良しが会話を始めるときの感じ。でも何 万人が見つめる紅白会場で、おまけにマイクで「ふたりの会話」をしちゃあ、KY。ちゃんと、紀香さんのフレーズを聞き取れていたとしても戸惑う。

実際は、エンヤ2の受け答えだったので、聞き取れていなかった模様。そして、そんな時の頼りは顔の表情だ。でも、この時のは例えて言えば、「皇室アルバ ム」のような、玉座の笑顔。その顔で「ねえ、元気だった?」と、実は親しげなことを紀香さんが言ったとは、エンヤは想像もできない。

これだ!日本人でかなり英会話を勉強した人でも、陥っている落としあなは。「そのせりふに、その表情ないでしょう」という声と顔の表情の表現問題。絵本の「棒読み」「しらじら読み」も、ここに問題ありなのではと疑っている。