高齢者施設でリードアラウドしてみた……

 チャレンジが続く2009年1月の今日この頃。二子玉川にある高齢者施設で、わたしとしても施設としても初めての試み、「英語絵本朗読会」を開いた。

 「日本語で読むことが中心になるのでは」と、翻訳書『おじいさんの旅』と原書Grandfather’s Journeyの両方を携え、ボランティア希望のKさんと、みなさんが集う大テーブルの席についた。10人ほどの参加者中、男性ふたり他は女性。辞書とノートを持って身をのりだしている人もいる。「英語をやる!」という意気込みを、全体から感じた。

 そこで、「日本語中心作戦」はさっさとひっこめ、「バイリンガル作戦」に変更。タイトルに、いろんな気持ちを込めて言うというところからスタート。
「わたくし、おばあさんですもの」と冗談なのか、本気なのか、あるご婦人が「おじいさんの旅」とすぐには読んでくれない。「おじいさま」になってしまう人も。

 次に、「Grandfather’s Journey」を言ってもらう。ほとんど全員の発音が素晴らしく、わたしは椅子から落っこちそうに。f とかthとか、jourとかわたしの口をじっとみてマネをする。ひとりは、声が出ない状態ということを喉を指差して伝え、無声で口を動かす。その「発音」が素晴らしい!指でOKサインすると、嬉しそうにOKをかえしてくれた。

 ふっ、と眠ってしまう人、低く吠える?ようにしか発声しない人、他人の間違いをすぐに指摘する人、わたしの「発音が悪くて聞こえない」という人……、そして驚きは、長いセンテンスをすぐにそらんじられる人が2名。「バイリンギャルズ」とニックネームをつけてしまった!

 1時間のセッションだったが、こんなに個性的かつ向学心が高い参加者のおかげで、わたしにはチャレンジング(=楽しい!)で、あっと言う間だった。これから英語と日本語両方の朗読を、1年がかりでも練習して、発表会ができたらなと思う。

 お手伝い参加のKさん、介護士の「young man」さん、ならびにアリア二子玉川のみなさん、どうもありがとう。See you soon!
 

「リードアラウドな」日々:2009.1.27

先週の金曜日は、クレヨンハウスでMadeline (Puffin Storytime)
『Madeline (Puffin Storytime)』
“>。ロングセラーの本書、なぜロングセラーかは、本そのものが証明していることを再認識。読んでいて楽しくなる、弾む空気。少女のかわいらしさが溢れてくる。いっしょに読むおとなたち、この日の目標は「笑顔」。笑顔で読むと、楽しさが伝わる。鏡を見ながら、顔から始めよう!

土曜日が、指導者向けワークショップ、そして月曜日が成蹊学園の3、4年生。Once I Was...
Once I Was…
という詩人と画家の共作。この日は、Once…とNow…を対比させる「2種類の声」で読むことに挑戦。いつも思うのは、みんなの反応のよさ。心がつるんとまっさら。感受性豊かで、清らか。リードアラウド、うまくなるぞ〜。逸材ぞろい。

春からは新しいプログラムを組んで、1冊の本を2回連続で読むことになるかもしれない。そうなれば、今は1文づつの読み方にとどまっているものを、本全体の読み方の練習にまで進められる。緩急、音の高低、間合いなどを考慮することを全体のバランスや伝えたいイメージから教え、子どもたちの感受性をこのリードアラウドでも花開かせて欲しい。

今日、火曜日。二子玉川の老人施設で『おじいさんの旅
『おじいさんの旅』
“』Grandfather's Journey (Caldecott Medal Book)
『Grandfather’s Journey (Caldecott Medal Book)』
“ボランティア朗読と、できればワークショップ。「バイリンギャル」や「バイリンガイ」もいらっしゃるらしいので、バイリンガルのリードアラウドができるかも。

新作戦:バイリンガル・リードアラウド

 リードアラウド(RA)「英語の本を演じるがごとく表現豊かに読むこと」の練習のひとつに、私的体験に基づいた作戦「バイリンガル作戦」がある。このことについて、あまり言及していないことを思い出した!

 先日始まった1年コースの「指導者向けRAワークショップ」は、日本人の指導者向けに特化したワークショップだが、この「会心の方法」を取入れた。声作りの基礎練習をプラスした3本立てで、下記のとおり。
1. ボイストレーニング
2. 日本語の絵本朗読練習
3. 2.で使用した本の原書朗読練習

 今のところこの方法の対象は、原書の英語をほとんど問題なく読める人。このレベルにある人が、さらにプロの読み手になろう、人に聴かせられる読み手になろうとするときに、特にバイリンガル・リードアラウドがいいのである。

 母語は直感がきく。細かいニュアンスを感じられるし、自分でもそれを表現してきている。そこで、母語で本を読み込む。「国語」の授業で先生が設問にしそうなことなど思い出しながら、解釈を深める。そしてそれを表現する練習だ。

 録音してみて、自分の朗読が自然に聞こえたらそろそろ出来上がり。が、ここも肝心!世の中、絵本の朗読というとクサイ(=不自然な)ものが多い。「自然で印象深い表現」という高い理想を持つこと。

 いよいよ原書、英語で読んでみる。びっくり!日本語で練習を積んだから、驚くほどニュアンスのツボが分かるのだ。あとは、日本語の気持ちを自然な英語に乗せるだけ!

 

指導者向けリードアラウド・ワークショップ#1報告!

 雪もちらちらついて寒い1月24日、8名の参加者(2名欠席)が会場に集合した。1時間半以上かかった方も数名、本当にありがたい。
 時間きっちり、1:30から中西先生のボイスコーチングと朗読演技指導が始まった。

「表現力」の手始めは、自己紹介。参加者の「ニーズ」を、中西先生が計るためだろう。姿勢、声、口調……、ボイスコーチングのプロはどう思ったのだろう。

さて次は、呼吸と発声の大切さのデモンストレーション。
1. 息は吐くことを意識する。2. 細く長く吐く練習。吐くのは普通15秒位だが、それをより長く。
細いストローを使って実際に、「細く、気持ちよく」吐いてみた。継続練習が大切。呼吸が変わるだけでも、印象も声も変わる。

そうそう、忘れてはならないのが、基本姿勢。自然で疲れない姿勢をみんなでしてみた。また首の位置、天から吊られているような位置に置く。胸と頭が、楽器としてのヒトのボディ。声帯だけでは声は響かない。

『おやすみなさいおつきさま』の朗読指導に入る。「絵本を読むことは、演技としては高いレベルの力を要する」という中西先生の絵本朗読をしてみての感想に、いい年になってヒーヒー練習しているわたしも「安心」というか、ほっとした。「やっぱ、難しいんだ」。

演技で大切なのは?と中西先生。答えは情報。情報として登場人物たちのプロフィールを考えて、演技に反映させる。

中西先生のデモンストレーション朗読で、すっかり気分は盛り上がり?「おやすみなさい」。その気になって消灯したくなった。中西先生、どうもありがとうございました!

いよいよ大島の二時限目。日本語での解釈、練習を受け、さっそくGoodnight Moonの英語朗読の練習に入る。具体的に、本書に必要な「情報」をみんなで考える。
ウサギは、何歳で、どんな子?解釈が少しずつ違ってもOK。ふうせんは、好きか。何色が好き?おばあさんは何者?この子ウサギは、どんな感情をおばあさんに持っている?などなど、ひとつのこらず、描かれたものたちへの感情を考え、それを表す練習。

同時に、大きく3つの進行に分けられること、それで声を変えることなど練習。間のとりかたが難しい。度胸がいるようだ。まだまだマイルドすぎる表現なので、みなさんの「ひと皮むけた」姿を見られるはずの次回が、楽しみ!

響く「いい声」に、めりはりのあるドラマチックで楽しいリードアラウドで、聴衆の目も耳も釘付けにしましょう。

なぜリードアラウドするのか:その2

 日本人の英語学習者になぜ絵本のリードアラウドを勧めて来たかを、ここでまとめようと思う。以下、順不同。

○楽しい
ワークショップ後のアンケートや小学生の感想文は、それなりの「お世辞」とポジティブな感想を持つ人が主に回答するという事実もあるのだろうが、「楽しかった」の声が多い。楽しいとなぜいいか。
 ●続けられる
 英語は継続と反復!楽しければ、自然にもっと聞いたり読んだりする。

○発音と会話が学べる
おのずと、文脈のなかで、自然な発音と言い回しなどを反復練習する。

○読解力がつく
表現を工夫し演じるには、より深く意味を考えることが不可欠。

○一種の共同体ができる
参加者同士、和気あいあいと、相互的な環境になる。

○自信がつく
ペーパーテストの点などとは違う価値を認識できる。

○読解力の進歩過程が見える
リードアラウドするのを聞くことで、学習者の進歩が推測でき、指導者は力を貸しやすい。

○読書が好きになる
将来、自分で本を選び読むようになり、知識と語学力がついていく。

こうして、リードアラウドはその学習者を、fluent readers=すらすら文を理解し読む人に育ててくれる!さあ、Let’s read aloud!