2009年から「リードアラウド」の新挑戦:老人ホームで「バイリンガル絵本朗読」

 わたし自身がヴォイス・コーチングを中西健太郎先生から受け始めて、多少自己満足的に言うと、気持ちよく声が出るようになった。第一今までは、声を出して「気持ちよい」と感じる脳の「野」がなかった。
 もちろんまだまだなので、時々朗読していて、声の「天井」のようなところにぶつかって、「気持ちよくない」声になる。でも、これらを感じられるだけでも、感受性が高くなったのは確かだ。

 また、声の他に演技力も少々……。実際、絵本の朗読を録音してみると、以前よりそれがついたのが客観的によくわかる(自画自賛的?)。しらじらしさは、ところどころ残るが、部分的に聞くに耐えるところがでてきた。また、もうひとつ分かったのは、立て続けに朗読しても、集中力がなくなるととたんに、元通りの聞けたものではなくなるということ。ここでも感受性というか、耳が肥えたようだ。

 こんな今日この頃、そろそろ、自分に新たなハードルをつけようという気持ちになった。そこで、世田谷のとある介護付き有料老人ホームに、2009年からの定期的な「朗読」ボランティアを申し出てきた。

 そのホームには、外国に住んでいた年配者も入所しているというので、もしかしたらバイリンガルの朗読、そして参加型のいつものリードアラウドも出来るかも知れない。が、「子どもよりも、難しいかも知れませんよ」と、所長がにやり。

 絵本が手元にない、まったくの「聴衆」であるみなさんを惹き付けられるだろうか。このホームには、一流のものに接してこられた年配者も多いと聞く。「もんくの多い客」もいるのだろう。そういう人たちのエンターテイメントになれるよう、「表現者」のひとりとして、2009年はもっと芸を磨く!

 

 

レオ・レオニと絵本

 「あおくんです」で始まる『あおくんときいろちゃん』は、その邦題そのまま、”little blue and little yellow” Little Blue and Little Yellow
『Little Blue and Little Yellow』
という原題の、日本や欧米でロングセラーの絵本。2009年1月からの「指導者向けリードアラウド・ワークショップ」で使う1冊でもある。

 今、その作者Leo Lionniの自伝,Between Worlds(現在版元切れ、Powell’sでusedでみつけた)を読み終わった。1910年生まれ1999年に亡くなったこの人、絵本作家というのはほんの一部で、実は芸術の巨匠だったんだ、という感慨に包まれている。

 英語では「ルネッサンスのひと」という、ダビンチのように何をやっても一流な人を表す言い回しがあるが、リオニはまさに現代のルネサンスのひとだった。オランダ、アムステルダム生まれで、不自由なく使える言葉は、オランダ語、ドイツ語、英語、フランス語、イタリア語。それぞれで、本が書けるほどの力だ。ふ〜、もうこれだけで「天才」。

 父方はイベリア半島起源のSephardic系ユダヤ人で、父は会計士からダイヤモンド商になった人で、母はオランダ人で舞台で活躍したオペラ歌手。本人はスイスの学校から、ジェノバ大学に進み、経済学博士号習得。絵画は独学。オランダの美術館で、レンブラント、フェルメールから、親戚の美術コレクターの叔父ふたりからは、ピカソ、シャガール、ミロなどなど生の絵を目の前にして現代美術を学んだ。

 音楽は、聞いただけですぐに演奏できたらしく、趣味としてアコーディオン、フラメンコ・ギターなどを演奏し、フラメンコも踊ったという。純粋芸術では、油絵と彫刻で個展をひらくプロの作家であり、商業芸術ではスタイリッシュで有名だったオリベッティのAD、グラフィックデザイナーとしても美術館に所蔵される有名作品がかずかず。アメリカの大手広告会社のAD、雑誌FortuneのAD、そしてNYの有名デザイン大学Parsonsのデザイン部長など歴任。

わたしが一番驚いたのは、Parallel Botany(邦題『平行植物』、英語版も翻訳書も版切れ、これもPowell’sでみつけた!)という、奇妙な植物だけを扱った植物学の本も著していたということ。動植物学と芸術というのは、学科的にはかけはなれているようだが、実は「美」というところでは根が同じだ、というひとつの例じゃないだろうか。わたし自身、植物学を志しておきながら、今、なぜか絵本について書いているし……。

 リオニは、「芸術の巨人」または「知の巨人」だった。そのひとが、非常に幸せな思い出に包まれた子ども時代を思い出しながら、晩年に楽しんで作ったという絵本を、改めてちゃんと読んでみようと思う。

 【お知らせ】Leo LionniとMadeline (Puffin Storytime)
『Madeline (Puffin Storytime)』
の作者、そしてWhen You Lunch with the Emporer: The Adventures of Ludwig Bemelmans
『When You Lunch with the Emporer: The Adventures of Ludwig Bemelmans』
などエッセイストとしても有名なLudwig Bemelmansを「対決」させる企画展(大島による企画、監修)が、2月1日より、東京クレヨンハウスで1ヶ月開催されます。現在は「エリック・カール vs. ロバート・サブダ展」。今後1ヶ月おきに2010年まで次々「対決」が続きます。絵本から、歴史や芸術、そして哲学、自分の生き方を考えることにまで広がったら素晴らしいと、この企画を進めています。

年末といえば「第九」、ではなくこちらは「運命」。今年も命拾い……

 今年の12月は、本当に「師走」だった。初旬の1週間は、通訳の仕事でアメリカ、ポートランド出張。帰国後、立て続けにリードアラウド、2回。原稿、だだだだ〜と数本。打ち合わせ3回、沼津でブックフェア。今、週末でほっと一息ついた。

 実は、今回のアメリカ行きの飛行機で、落雷にあった。一応「航空機事故」だ。わたしの座っていた席の窓から、「火の玉」が入って銃声のような音がして、わたしの心臓は破裂しそうだった。すぐに機内放送も入らず、何が起こったか分からない。機内はシーンとして、覚悟を決めた人々の張りつめた空気が漂ったようだった……。わたしは、遺書を書く手帳に手をかけた。でも、「火の玉」の正体は雷さまで、それが機内にお入りになったのだ、ということが、長ーい10分後に分かった。

 何かに引火していたら、「成田沖墜落事故」になっていたかも知れない。……これで、何度目の命拾いだろう。
 そこで、これまで命を落としそうになったときを挙げてみる。

1.お風呂に落下、溺死寸前(小学生) 2.巨岩が目の前に落ちてきたネパールでの崖崩れ 3.アフガニスタンで肝炎 4.ガン 5.航空機落雷事故
ちょっと数えたら、5回ある。ネコには9 Lives という言葉があって、9つの命があるらしい。わたしは、命を落として生まれ変わっているわけではないが、なんだか根拠なく、一生で9回くらい危ない目に会うのかとも思う。次はいったい何だ……。

 

2009年1月からのリードアラウド・ワークショップ予定

2009年もEventfulな一年です!

2009年
1月23日クレヨンハウス 19:00-20:00
絵本:Madeline with CD
対象:おとな
場所/申込方法:表参道クレヨンハウス
アクセスまで。
費用:クレヨンハウスで教材となる絵本購入者に限り無料

1月24日(土)第1回 指導者向けリードアラウド・ワークショップ
13:30~16:40
絵本:おやすみなさいおつきさま& Goodnight Moon
対象:指導者
会場:
世田谷区用賀(新玉川線用賀駅下車4分)
費用:
入会金…3,000円
受講料…9,000円/回(教材費別途)
申込方法:
キッズブックス・ウェブサイトからお申し込みください。→『Read Aloud Workshop 2009』
定員10名。先着順。
※2009年1月27日現在、定員に達したため募集を締め切っています。ご連絡先をメールいただければ、欠員が出たときにお知らせいたします

受講料は、毎回会場でお支払いください。

1月26日 成蹊学園国際教育センター(小学生3,4年)
成蹊小学生対象。詳細は成蹊学園国際教育センターにお問い合わせ下さい。
成蹊学園国際教育センター国際課
〒180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-3-1
0422-37-3536

1月27日アリア二子玉川でバイリンガル朗読ボランティア
時間:10:00-11:00
絵本:(予定)おじいさんの旅/Grandfather’s Journey

対象:老人介護施設入所の高齢者
会場:アリア二子玉川
ボランティアご一緒希望の方、自由参加。10分前に現地集合。
形式は、朗読会になるか参加型ワークショップになるか、アリアのみなさんのご様子次第。

1月31日フタバ図書広島府中店13:00-14:00 
絵本:Little Blue & Little Yellow/あおくんときいろちゃん(2冊)
対象:おとな/子ども(4歳以上)
場所:イオンモール広島府中ソレイユフタバ図書テラ
082-561-0771 (洋書担当:中野さん)

2月22日(予定)クレヨンハウス 9:45-10:45
絵本:The Happy Egg
対象:子どもと大人
場所/申込方法:表参道クレヨンハウス
アクセスまで。
費用:クレヨンハウスで教材となる絵本購入者に限り無料

今回のポートランドみやげ

 2008年晩秋のポートランド土産は、ぜったいこれでしょう?

 ポートランドは、欧州系移民の多い街で、「外人」なのに英語がへたな人がいて、最初は面食らうかもしれない。多くは、旧ソ連だった国からの人々で、古くは20世紀初頭にサケ漁のプロとしてウクライナなどから入った移民もいる。古い移民からあたらしい移民までいるこの街には、そのせいでロシアや東欧系の文化がところどころで見られる。

 マトリョーシカなどロシア、東欧系の雑貨を売る店が、街の中心パイオニアスクエアにある。そのショーウインドーで見つけた新製品が、この「限定民主党大統領マトリョーシカ」。
まだ、欧州アクセントが強い店主らしき女性の説明によると、今までは大統領を順に人形にしたマトリョーシカだったが、「モダン版で、こうして民主党だけのが出来ました。でも共和党の大統領だけのもあるわ」と、ブッシュが一番上にくるのも見せてくれた。

 「でも、売れるのは民主党のでしょう?」とわたし。「……」無言で、わたしの顔を見て、安心したように「はい、正直言ってそう。わたしたちは……、ブッシュはいらないもの」。

 50ドル、と安くはないが、熱かった2008年の選挙戦の思い出に、と購入した。

 ちなみに、人形上から、オバマ、クリントン、カーター、ジョンソン、ケネディ。
Yes We Can: A Biography of Barack Obama