Spare some change? 小銭でいいからくれない?

共和党の副大統領候補がサプライズ!な女性に決まったとたん、メディアがスキャンダルをなんだかんだとほじくり始めた。なんでか日本でも話題になっているらしく、日本の某週刊誌の記者から「何か面白いこと知りませんか」という国際電話が、夜更けから夜明けにかけて何度もかかってきた。いくらアメリカ・ポートランドにいるからといっても、わたしの知っていることは、日本のみんなが知っていることとほとんど一緒だ。でも、そんなことやらなきゃならないのが気の毒。しかし、わたしたちは、外国のことをどうこう言う前に、自分の国の政治を考えた方がよくないか!?

 それにしても、こちらの政治というか、選挙の盛り上がりはたいへんなものだ。多くの国民が政治に興味を持っていて、アメリカをいい国にしたいという思いが伝わってくる。政治を見張っていることが、アメリカ人であることの絆のように感じているのだろう。こんなところ、いい国だと思う。

 でも、街の通りには必ずと言っていいほど、「お金を下さい」と言ってくる人たちがいる。「Spare some change?」が、よく使われるフレーズ。ホームレスというわけでもなさそうな、こざっぱりした服装の婦人もいる。そう……思えば女性が多い。

 今日は「Sing a song for a little money?」と、悲しい目で女性にきかれた。「I will sing a song for a little money.(歌うから、お金をちょっと下さいな)」と言っている。なんだかマッチ売りの少女を連想し、悲しくなる。冬でなくてよかった。だが、 Farmers’ Marketで、人々があれもこれもと買い込んでいるそばを、中年?の彼女は体中で寂しさを表現して歩いていた。どんな声をしているのだろう。

 いつも、ドラッグストアの前で「Spare some money」などと書いた札を置いて座り込んでいるのは、ロックをやってそうな若者1、2名。まさか、いつも同じ人が座っているんじゃないとは思うが、なぜかどの人もパンクロック系。女性の時もある。タトウーとピアスはmustアイテム。時々、犬もいる。

 違うパターンで「Spare some change for dog food.」というのもある。犬がちょこんと座っている。これはもらいやすいかもしれない。でも、時に飼い主は、横ですぱすぱタバコを吸っている。タバコ代じゃないの?

 無銭旅行中で休息しながら稼ごうとしているあっけらかんとした若者の場合もあるが、悲しいのは老人たちだ。足が不自由な人もいる。車椅子の人もいる。たいがいとても清潔そうなので、ホームレスではないのだろう。でも、いっぱいいるのは、お金がいくらかでも集まるから?

 ポートランドでは、ダウンタウン内の公共交通料金はタダなので、こういう人たちが乗ってくることもある。郊外のどこかに住んでいて、街中へ「仕事」として通っているのか。

 こちら衣食住に困らない住人は、何度こういうことを言われても、どう応えるか決め手がなく、心地悪い。「お前何かを買っただろう。ちょっと小銭ぐらいいいじゃないか、くれたって」と、高級店の出口前には、たいていこういう目をして立っているのである……。

アメリカの都市の中の貧困を描いた本がある。
Noonday Friends
『Noonday Friends』

こちらは、1930年代の農村の貧困を描いたもの。
Out of The Dust (Newbery Medal Book)
『Out of The Dust (Newbery Medal Book)』

アメリカ南部のアフリカ系の人々の貧困……。
Sounder
『Sounder』

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