Oral Readingとは? リードアラウドそのものだった

 先日、第二回目のThe Fluent Reader:Oral Reading Strategies for Building Word Recognition, Fluency, and Comprehension
『The Fluent Reader:Oral Reading Strategies for Building Word Recognition, Fluency, and Comprehension』

を読み解く会があった。研究熱心な、英語教育に興味を持つ4人とわたしの5人だ。第4,5章を主に読んでいったが、子どもたちに繰り返し読ませることの大切さと、それを飽きさせずにどう実行するかが印象に強く残った。

「リードアラウド」方式、つまり感じを込めて声に出して演ずるように読ませること、それを練習することは、やはり英語上達の王道だった!と思った。
本書で述べられている実績のあがった方法、たとえばアナウンサーのように読む、reading theaterと称して演技たっぷりに読むなど、同じ方向性だ。

そこで思い出した本がある。Short Plays for Primary Grades (On Stage Series)
『Short Plays for Primary Grades (On Stage Series)』

子ども向けの脚本集だ。絵はないが、著作権もなしで自由に使える。ふたりの生徒がかけあう、5分程度の短い劇だが、暗記用ではない。台本を何度も練習することで、Fluent readerになるわけだ。
絵本でもYou Read to Me, I'll Read to You: Very Short Stories to Read Together
『You Read to Me, I’ll Read to You: Very Short Stories to Read Together』

のようなものは、セリフになっているのでそのまま使える。でも多くの絵本は、加工が少し必要かもしれない。

こんなセリフの勉強のようなやり方で、自然と何度も読み感じをこめる練習(英文のリードアラウド)がつめれば、fluent readerも夢じゃない……。

米国大統領選挙とリードアラウドの関係

『朝日新聞』4月20日朝刊のコラム「もっと知りたい!」で、「支持得る演説の技とは?」と題し、民主党のクリントン候補とオバマ候補の話術、しゃべり癖についてちょっとした研究がされていた。常日頃のわたしの「リードアラウド」への関心と重なって、とても興味深く読んだ。

「どこと言われてもちょっとはっきりしないが、何だか感じが良くない」というクリントン評を、民主党びいきのアメリカ知識人ふたり(男性)から、それぞれ聞いたことがあった。その「何だか感じが良くない」のわけが、この記事でなんとなくわかった気がする。

1.「You know」「well」を、演説や討論で繰り返す
→いかにも自然な雰囲気を演出しているが、わざとらしい。多用は、耳障り
2.タフな姿勢を示しすぎる
例 Shame on you, Barack Obama.
3.言葉の端々に、嫌味な感じがつきまとう
例は、ネガティブ・キャンペーンに踏み切ったときの、Well, the fun part starts.

このようにネガティブな印象を与えるクリントンさんの話法に対して、オバマさんの演説力の評価が高い。その技とは……。

1.間を取った話し方。ゆっくり、しばらく沈黙することも。盛り上がる部分ではリズムを速める
2.対照や繰り返しといったレトリック
3.主語にWeを多用する

ここで「リードアラウド力」そのものなのが1だ。また2は、「Read Aloud」を念頭においた絵本で多く使われている技でもある。3は選挙演説ならではだろうから置いておく。
意識していると、いろんなところにリードアラウドで使える技や、メソッドを深めたり極めたりするヒントがあるものだ。
いつか、リードアラウドの上級クラスで、Martin Luther Kingのあの「I Have A Dream」の演説を試してみたいと思う。
ああそうだ、今週25日金曜日はクレヨンハウスで、Pete Seegerの美しい詩の絵本
One Grain of Sand : A Lullaby
One Grain of Sand : A Lullaby
リードアラウドである。

Mike Thaler(マイク・セイラー)さんとご一緒して

 4月13日、クレヨンハウスで絵本作家のMike Thalerさんの通訳を務めた。まずは、雑誌『クーヨン』のインタビュー。黄色いキャップに黄色のスニーカー、そして前日にユニクロで買ったという黄色いソックス、ハワイで購入した北斎っぽい波の絵のアロハという出で立ちのマイクさんは、76歳というが若々しい。

 Creativity が彼のキーワード。それを子どもたちに、失わないように、そして必ずひとりひとりが持っているはずのgift=才能を大切に育てよう、というメッセージだった。また、作家というもののcreativityは、内なる子どもらしさにある。それを失わないということが、作家であり続けるということだという。彼が若々しいのも、「子どもらしさ」を持ち続けているからだろう。「アイディアが枯渇した経験は?」という質問には「NEVER!」。そして見せてくれたのが、小さなノートと消しゴム付きの鉛筆。そのノートはアイディアを書き留めておくもので、200何番かの通し番号がふってあった。もう200冊以上あるわけだ!どんどん、思い浮かんだいいことを書き留めているとのこと。

 午後は、ファンを前にトークとワークショップ。Riddle Kingとも呼ばれるマイクさんだが、英語ができてこそのriddleなので、日本の子どもを前にしてちょっと調子が違う。通訳の技量が試される場面でもあった。冷や汗……。
予定になかった The Teacher from the Black Lagoon
The Teacher from the Black Lagoon』(4月15日から先着9名はサイン付きで!)のRead Aloudをすることになり、通訳、またまた冷や汗。英語がわからなくても、楽しくしなきゃ!とひとふんばり。あ〜エネルギー消耗した……。

 でも、たくさんの方がサイン会にまで残ってくれて、よかった、よかった。そしてその後である。疲れていたかのようだったマイクさんに、「Netsuke time!」と言ったとたん、「イエー!」と休む間もとらず、すくっと立ち上がった。あらかじめ下調べしておいた骨董品店に、根付けを見に行くことになっていたのである。

 根付けは、欧米にコレクターが多い。マイクさんは、本格的なコレクターである。安物には興味がないと思ったので、本物を扱う店を見つけておいてよかった。マイクさん、吸い寄せられるように一つの印籠と根付けを手にとった。目がそれを愛でて離れない。そこでの空気は、骨董品を扱うディーラーと客独特のものなのだろう。会話や、視線のやりとり、間など緊張感がある。そして一流品の品格というものも、空気を緊張させるものだった。
 絵本作家の、芸術家としての根っこを見たような気がした。

 

Mike Thaler(マイク・セイラー)さん来日

 日本では『ぼちぼちいこか』という訳でロングセラーの絵本の原作者、Mike Thalerさんが来日し、13日はクレヨンハウスでファンの会を13:00から開く。わたしは、そこで通訳の仕事を受け持つ。

 彼の名前を聞いたのは、10年以上前のことだったが、「セイラー」と書くので、Sailorかと思い検索して苦労した。Thalerさんだった。『ぼちぼち…』の原題は『What Could a Hippopotamus Be?』で、本国アメリカでは版元切れになっている。彼のアメリカでのベストセラーは
The Teacher from the Black Lagoon
The Teacher from the Black Lagoon
だろう。『Black Lagoon』シリーズは子どもたちに大人気で、彼は学校に呼ばれることがしょっちゅうあるようだ。

 ユーモアあふれる文体で、だじゃれなども多く、子どもに受けるのも想像に難くない。それを日本語にするのは難しいが、『ぼちぼち…』は、英語にも書かれていないすっとぼけた空気を日本語に訳出した名作だ。大阪弁?の今江祥智さんのアイディア、天才的!

 さてさて、ご本人、会話にもダジャレ満載の方だろうか。72歳とはいえ、ばりばりの方だろうか。13日が楽しみだ。

Oral Reading がキーワード:その2

The Fluent Reader:Oral Reading Strategies for Building Word Recognition, Fluency, and Comprehension
The Fluent Reader:Oral Reading Strategies for Building Word Recognition, Fluency, and Comprehension
というアメリカの小中学校の先生用のテキストを、3月から月に1回のペースの勉強会で3ヶ月かけて読み始めた。勉強会参加の先生方と日本の英語教育の現状などと照らして、「日本仕上げ」に出来ればなと思う。

 初回に参加した方々は、期間に違いはあれどもみんな留学経験者。英語を何らかの形で教えていたり、教えたいと思っていて、かつOral Readingというキーワードに惹かれた方々なので、自分が発音することに躊躇(ちゅうちょ)はない。それを前提にその先の教授法を研究するわけだが、実はこの前提を日本の英語の先生の標準に照らすともう「並」じゃないのかもしれない。

 たとえ、このFLUENT ENGLISHというテキストを翻訳出版したいと思っても、これが役に立つ先生方がどのくらいいるかが問題だ。ああ!まただ。すごい狭い「ニッチ」なことをしている……。

 でも、このテキスト、最初の3章をみんなで読んでみただけで、いかに声に出して読ませることで、子どもたちに英語の楽しさを伝授出来て、英語理解力をつける助けになるか伝えたい、という著者の熱意がわかる。アメリカの文科省にあたる機関で、1000人の3年生の調査をした結果なども踏まえているので説得力もある。

 ああ、日本の小学校英語指導者のみなさん。ゲームや歌や、ハロー、ハワーユーだけでなく、絵本をみんなで声に出して、そして感情を込めて読んでみましょうよ。おもしろいんだってば。子どもたちは、楽しめるんだってば。Let’s read aloud!

 ちなみに、次のわたしのRead Aloudは、4月25日(金)のクレヨンハウス。これは大人向けで
One Grain of Sand : A Lullaby
One Grain of Sand : A Lullaby』を読む。フォークソングの大御所であり、絵本作家でもあるPete Seagerの詩に、美しい絵をつけたものだ。Expressionが、大人たちの課題。書かれている英語を、本当に理解しているかどうかは、そのexpressionでわかる。意味を理解し、自分のものとして表現出来て初めて、You are reading fluently.ということなのである。