英語の本をどう読んで、英語力をつけるの? その3

 英語学習者にとって福音かも知れないGraphic Novelsは、マンガを含めた絵本と読み物の中間で、「文学性」があるものと位置づけられているようだ。だから、アメリカン・コミックス、『スーパーマン』だとかは除外される。

 このグラフィック・ノベルが、アメリカ出版界で目につくようになった。そして、その解釈が広がり、とうとう自らグラフィック・ノベルと称する本が、コルデコット賞を受賞した!2008年はそう言う意味で、重要な年かも知れない。

 その受賞作The Invention of Hugo Cabret
文/絵 Braian Selznickは、こんな本。
The Invention of Hugo CabretThe Invention of Hugo Cabret
 「グラフィック・ノベル」という、絵本と読み物の中間のようなフォマットに挑戦した画期的作品である。分厚い見かけは、膨大な文字量を連想させる。しかし、第1章。鉛筆画が、クローズアップを効果的に使いながら、古い無声映画の場面のように続く。20世紀前半、パリの駅を主舞台に、秘密めいた少年と老人、そして謎のからくり人形が関わる物語らしい。絵のみだから導入部分42ページも一気に進む。しかし、頭には謎が渦巻く。と、ちょうどそこから文字だけのページが始まる……。
 時計職人の父が修理していたからくり人形を、父の死後、主人公の少年ヒューゴがどうにか完成させる。人形は「メッセージ」を綴り始め、それはある忘れ去られた天才映画作家の存在を蘇らせる……。
 映画が魔法のように感じられた時代の熱気と、人々に与えた夢が迫って来る。読者は、絵の時は速く、文字の時はゆっくり、それをわくわく交互に繰り返しながら、ついに最終章にたどり着くのである。(c.2008 大島英美/Emi Oshima)

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