新学期!マジック・スクールバスに乗りたい

こちらポートランドも新学期が始まったばかり。わたしのアパートは、Portland State Universityまで1ブロック、またミッション系私立女子高校の真ん前で、昼時に外へ出ると学生たちでごったがえしていた。新学期のせいだろう。

この州立大学は発展中で、新講義棟建設の真っ最中。そしてポートランドの誇る公共交通、路面電車の新線も工事中。その他にも高層マンションの建設中のものもいくつかある。街は賑わいでいる。

いつものヴェトナムそば屋で、フォーを食べる。こちらも大繁盛で、12時半をまわっていたのに待たされた。黄色と黒のスクールバスが3台通りがかった。 小学生がちまちまと乗っていて、子どもらしくガラスにべったり、鼻がペチャンコになるくらい顔をくっつけてこちらを見ていた。

このアメリカのスクールバスが、なかなか絵になる。どういうことで何十年も、どこの州でも、同じデザインなのかは知らない。だが、スクールバスといったら、もうコレ。年齢を問わず、通学または学童時代のシンボルになっている。

『Magic School Bus』
The Magic School Bus in the Time of the Dinosaur
The Magic School Bus in the Time of the Dinosaur』(マジックスクールバス 恐竜時代への旅)
作者:Joanna Cole イラスト:Bruce Degen

という長寿の小学生低学年用の絵本シリーズがある。Ms.Flizzleが理科の先生で、不思議なスクールバスを運転して科学の「遠足」に生徒たちを連れ て行ってくれる。あるときはタイムマシーンに、またあるときは宇宙に飛び出すロケットになり、ミクロの世界に入れる大きさに縮みさえする。

スクールバスというだけで、アメリカ人全世代の郷愁を呼ぶことも人気が長持ちしている理由のひとつだろう。思い出を共有している感覚か。

戦前そしてベビーブーマーたちを経て長く、多くのアメリカの小学校で使われた読本、Dick & Jane シリーズ
The World of Dick and Jane and Friends
The World of Dick and Jane and Friends』(デック&ジェーン)
作者:William S. Gray

にも、スクールバスが登場する。バスのモデルチェンジも、子どもたちの持つランチボックスのモデルチェンジも、Dick & Janeの時代からほとんどないのが、日本人には驚きだ。大切に残しているふしもあるが、なぜなのか判然としない。だが、それがまるで老舗ブランドのよう な伝統の味を出しているようにも思う。

アメリカ人が、案外古い家に住み続けるのも日本人には驚きのひとつではないか。100年以上経った家に住んでいる人も、この西海岸でさえ珍しくない。(東京は、アメリカ軍による空襲で随分焼かれてしまったので、古い家がないのか……)

古くていいものと、困るものがある。わたしのアパートの暖房が壊れた。「もう30年以上前のものですからねえ。まだ動いていましたか」と修理人に妙に感心されてもなあ……。