黄金の羅針盤(Golden Compass)映画を見ました

小雨が降る冬のポートランド、外気は摂氏2度。でも今いるアパートの暖房が壊れたままなので、中も外もさほど差がない?まあ、それは冗談。
こんな夜だが、徒歩で8分ほどのシネコンへ行って『Golden Compass』を見て来た。

本を読んでいるだけでは気がつかないこと、本が映画にかなわないある1点に気がついた。主人公ライラが住んでいるのは、架空のオックスフォード。パラレ ルな世界が存在するという設定なので、イギリスの実際にある現在のオックスフォードは、まだこの3部作His Dark Material
The Subtle Knife (His Dark Materials, Book 2)
The Subtle Knife (His Dark Materials, Book 2)』(ライラの冒険2 神秘の短剣)
作者:Philip Pullman

The Amber Spyglass (His Dark Materials, Book 3)
The Amber Spyglass (His Dark Materials, Book 3)』(ライラの冒険3 琥珀の望遠鏡)
作者:Philip Pullman

の第1話The Golden Compass
The Golden Compass (His Dark Materials, Book 1)
The Golden Compass (His Dark Materials, Book 1)』(ライラの冒険1 黄金の羅針盤)
作者:Philip Pullman

では出て来ない。しかし、このオックスフォードにはスコラーと呼ばれるイギリスのエリート集団と、その他の市井の人々が境界を作って住んでいる。実際のイギリスの社会がヒナ型で、その階層の違う人々の英語は発音が違う!

本を読んでいた時は、すっかり気がつかないでいた。映画はすごい。始まって1分もしないうちに、発音スタイルの違いだけでも登場人物たちを2つのグループに、聞き分けさせる。あっという間にキャラクターにイメージが付く。

書き言葉でも「平民」は、英文法が間違ったままで通用していたり、使う語彙が簡単だったりするので、何となく「平民」と分かることは分かる。しかし、それに気付くにはだいぶ英語の達人になっていなければならないし、瞬間的に気づくものでもない。

イギリスの「上流」英語は、発音というか発声法が違って、アメリカ英語に慣れた英語学習者の耳には聞き取りにくい。東京の人が大阪の言葉を聞いても理解 ができるように、アメリカ人なら問題なく分かる程度の違いではある。だが、英語が母国語でない人には、聞き取りにくい発音がある。

もう1点、映画のすごいところは、イメージだ。たとえば、真理計(これが黄金の羅針盤のこと)。これは重要な小道具だが、本を読んでいるとイメージがな かなか定まらない。映画はそれなりのものを、いとも簡単にイメージさせてくれる(読者が抱いていたイメージを壊されることもあるが)。

さて反対に、映画より本が優れている点もある。400ページほどの本が言葉で綴ったことを、2時間の映画に仕立てたので、映画はどうしても説明不足だ。 本は言葉をある程度尽くして説明し、読者は分からないところを読み返せる。本は、このように詳しいうえ、自分のペースで進めるので、しっかり思考する機会 を与えてくれる。映画は反射神経に訴え、頭に残すのはイメージがほとんどだろう。

本作品は映画で見るのも見がいがあるが、もし字幕なしで映画『the Golden Compass』を見ようという英語学習者は、「イギリス上流英語」の聞きのがしを補うためにも本を読んでおくことをすすめたい。

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