本の街ポートランド、パウエルズ書店で多読を考える

 本を読む前に小腹がすいたので、ブラックチェリーを食べた。日本に「アメリカンチェリー」と称して輸入されているものとは似て非なるもの。こちらのは姫リンゴサイズで、甘い。8コでお腹がいっぱいになった。
 パウエルズの児童書セクションにある「Stuff Choice」という棚は見逃せない。そこでヘンなものを発見した。
 
クラッシックな女子高生探偵シリーズ『Nancy Drew』
 今は、ブッククラブの解説を書くので
の3冊が、これまた50年代風のハンドバックに入ったセット!
The Deptford Mice Trilogy のBook 2:
そんなもの推薦する?と思ったが、やけにハンドバック入りというのがヘンで笑った。冗談で選んだものだろう。本自体は読みやすいミステリー。アメリカの大衆青少年小説の代表選手。ハンドバックはなくてもいいが、本は多読用にお勧めできる。
The Crystal Prison by Robin Jarvis
レクサイル指数は750L程度。もちろんハリーポッターより読みやすい。
(難易指数レクサイルは本シリーズ650L)

を読み始めた。アエライングリッシュ10月号では、このシリーズのブック1をお勧めしたが、イギリスの古都デプトフォードのネズミたちのファンタジーサスペンス。ネズミたちが「イギリス人」らしく、興味をそそる。アメリカものよりも、「執拗」な感じがイギリスというか、ヨーロッパらしさかも。

ポートランドで多読を考える

 ポートランドで「宿題」をしている。今日はキッズブックスの多読ブッククラブの解説を書いた。金曜日にはクレヨンハウスの洋書絵本ブッククラブの解説を終えたばかり。ほんとに多読生活だ。

 多読ブッククラブの解説は、9月分のレベル4、『The Good Master (Puffin Newbery Library)』のものだった。
 作者の子ども時代、共産主義になる前の1920年代のハンガリーの田園風景が描かれているが、何にも増してそれが素晴らしかった。四季の移り変わりにそって進んでいく物語から、ハンガリーの四季を感じることもできた。
 以前、同じ作者の『The White Stag』も多読ブッククラブの選書にしたから、会員の方は作者に見覚えがあるかもしれない。

 現在発売中の『アエラ・イングリッシュ10月号』でわたしが選書・解説した「児童洋書24選」では、レクサイル指標を本の難易度を計るめやすのひとつに挙げた。たとえば『ハリー・ポッター』シリーズは、880から1030L(レクサイル)。この本で挫折した日本人を何人も知っている。
 だから提案した。「ハリーよりも簡単なもの(Lの数字が低いもの)で、本当の多読しませんか?」と。ちなみに『The White Stag』は640L。本当に読みやすいはず。

 今日、パウエルズで本をあさっていたら、日本の女性に声をかけられた。日本語で話したら、すごく嬉しそうに、本の探し方を尋ねてきたので教えてあげた。彼女が探していた1冊が『Winnie the Pooh』。 

 直感的に、彼女には難しいと思った。実は、わたしは、日本で大学1年のとき、プーさんで挫折している。日本の大学生のレベルを身にしみて知っている。そして、プーさんのオリジナルは、レクサイルなんと790L。案外難しいのだ。

 もう1冊その彼女が探していたのは、Roald Dahlの『Charlie and his Chocolate Factory』で、これは810L!どうせなら『The Twits』(750L)にしておいたらいいのに。
 
 パウエルズに『アエラ・イングリッシュ』置いてもらいたいくらい。近頃、日本人がウロウロしているようになったので、この『アエラ』を見せるか、わたしが直接、読みやすそうな本を教えてあげたくなってしまう。

アエラ・イングリッシュ10月号ポートランド到着

 今日嬉しいことに、ポートランドのわたしのアパートの郵便受けに『AERA English]』が入っていた。アエラ編集部のF嬢に感謝!

 特集の「大人も楽しめる児童洋書」(p.10-17)では、選書と解説をお手伝いしたので、出来上がりを楽しみにしていたのである。表紙には「ハリポタより読みやすい!大人の多読向き児童洋書:文学、ファンタジーなど7ジャンル24冊」という字が躍っている。

 イラストやレイアウトがとてもいい。色合いも上品かつ見やすい。紹介洋書の本文の引用を載せるというのは、いいアイディアだった。それが白抜きになっているので、目に留まりやすい。つい、自分が選者だったこと忘れて、そこをひろって読み始めたら止まらなくなった。いい抜粋が多いので(自画自賛)、ここだけ読んでも英語の勉強になる。このためだけでも、『アエラ・イングリッシュ10月号』を買う価値あり!そしてもちろん、その24冊も本当におすすめ。わたしの「持ち札」をだいぶ紹介してしまった。また補給しておかなければ。何しろこの24冊は、「おもしろい」「読みやすい」この2点について、折り紙付き。
 
 もうひとつ楽しみだったのは、パウエルズ書店社長マイケル・パウエルさんの「本の魅力」を語ったインタビュー。p.18-19に、バイリンガルでそのインタビューが載っている。インタビュー内容は、わたしはもう知っていたので(インタビューの場にいた)さておき、写真がいい!女性だけでなく、先日パウエルさんとランチをご一緒させていただいた、19歳の少年たちも言っていた。
「イタリアの親分みたいだね。でもそこがカッコイイじゃない」
(ご本人はイタリア系ではない。ウクライナ+北欧系。メガネ、服、靴がイタリア製)
ご本人はどういうご感想をもたれるか。楽しみは来週までおあずけ。

 わたしは英語でなされたインタビュー記事は、ぜひとも原文を読みたいと思う。翻訳ではその人の本当の感じが伝わりにくい。だから『アエラ・イングリッシュ』のインタビュー記事が好きだ。パウエルさんの英語は、明確・明晰でとても分かりやすい。ビックワードはあまり使わないで、イディオムが多い。カッコつけたくないらしい。

 今月の『アエラ・イングリッシュ』には五嶋龍くんとパックンの会談も載っているが、龍くんの英語にふれられてよかった。彼のインタビューは日本語で読んだことがあったが、「この子はどんな英語を使うのだろう、さぞかし……」と、なんだか架空の「自分の息子」みたいに思って、期待をしていた。……そしたら、まったく予想どおり、そして期待通り。素直で、しっかりした、頭のたいへんよろしい、行儀のいい子(少なくともインタビューを読む限りは)。

ポートランドでいただくカップ麺

 先日誕生日にひとりでカップ麺を食べたが、なかなかおもしろかった。前回のポートランド滞在では気がつかなかった、「カップ焼きそば」を発見したのだ。Chow Mein チャオメンと、アメリカでは焼きそばのことを言うのだが、このカップ焼きそば、インスタント・チャオメンと呼ばれている。チキン味とビーフ照り焼き味がある。
 パッケージは四角いプラスチックの箱型で、ほとんど日本と同じだが、麺の太さが違う。そして何が面白いかと言えば、その作り方。内蓋に印刷されている作り方によれば、1)乾燥野菜を袋から出して麺にのせる。(ここまでは同じ)2)水を線までいれる。(水!)3)電子レンジで6分。止めたらそのまま1分待つ。(電子レンジ!)4)ソース(照り焼き味か、チキン味。日本のソースではない)を入れ混ぜて出来上がり。
 一瞬読み間違えたかと思ったが、確かに水を入れて、電子レンジで6分。他の作り方は書いてない。でも、絶対日本の「カップ焼きそば」だと思ったので、わたしはお湯を入れ3分後にそのお湯を切り、ソースを入れて食べてみた。
 もちろんちゃんと出来ていた。そして……美味しい。もちろん好きずきだろうが、麺の太めなところが、どこか有名なお好み焼き屋のみたいであるし、ソースが照り焼き味でも、チキンでも悪くない(2回食べたから知っている)。日本のソースがあまり好きではないので、こちらのほうがいいと思うのかも知れない。
 値段はちょっと高い。1ドル70セントほど。
 ニューヨークの少年たちに情報を伝えると、ニューヨークではまだ見たことがないと言う。NISSINはカリフォルニアの会社なので、西に強いのだろう。送ってあげようか、とも考えた。
「ねえ、誕生日にカップ焼きそば?」
と言われ、はっと気がついた。ちょっとひどいディナーか。
 仕事をがんばって終わらせたいので、外出も控えてこうなる。一食はちゃんと玄米を炊いたりしているので、健康食。念のため書き添えておこう。

ポートランド交通事情

今日も快適なポートランドの夏。タンクトップのうえに長袖の羽織ものがあればベストの気候だ。木陰で20度くらいか。木漏れ日が、舗道にきれいな動くパ ターンを作っている。それを楽しく追ううちに、それが自然と散歩になる……はずなのだが、今年は勝手が違う。わたしの住む5番街に、新しくLight Rail(路面電車)が通ることになり、その工事で毎日あちこち舗道が交通止めになって、途切れてしまう。

ポートランド市内に住むなら、車はほとんどいらない。わたしは徒歩と路面電車、Street Carのほうを利用する。Street Car はまあチンチン電車、ほんとに「チンチン」とベルを鳴らす。これも延長中で、ウィラメット川沿いまで開通したばかり。先日は、Powell’sのマイケ ル・パウエル社長も、延長開通祝いのリボンカット式にご出席とのこと。Street Car の重要なサポーターのひとりだ。

パウエルズ書店の知り合いから、昨日こんなメールが来た。
… I’m so proud of this city now that Tokyo is noticing us!

何のことかと言えば、日本のTVがポートランドの公共交通について、こんな報道をしたから。
http://www.commissionersam.com/node/2719

これは、たぶんこの春に読売新聞、生活情報部がポートランドを連続コラムで紹介したことがきっかけだろう。わたしも微力ながら通訳のお手伝いをした取材である。
この英語の翻訳もつけられたTVニュースのリポートは、
1)自転車を交通手段にすることで、いかに環境に優しい街作りをしているか。
2)国としては京都議定書にサインをしていないが、市がこんなにがんばっていて、二酸化酸素削減にも大きく貢献した。
3)やればできるんだ!
という感じでまとめられていた。

わたしは自転車をまだ買っていないが、先日、例の19歳の少年たちと貸し自転車屋でかっこいいスポーツ車を借り、川沿いを半日走った。快適のひとこと。
「もうここ、オレゴン!って感じだね」
都会育ちの19歳も、静かに興奮して、後続の自転車から叫んでいた。15分もウィラメット川を走ると、あたりは森と草原。野性の花が咲き乱れる。沼ではサギが羽を休めている。空気が甘い。

街中も走ったが、自転車専用レーンがほとんどの道にあるし、駐輪用の柱や柵がすぐ見つかる。カギをかけるのと、ヘルメットが面倒なだけ。路面電車の中にも、自転車を持ち込める。

仕事が順調に進んだら、この週末はまた自転車を借りようかな。

今日は日本では23日、『アエラ English 』が出る日かな?「多読」の記事と、「パウエル氏インタビュー」が楽しみ。