「読み聞かせ」では学べないことも、リードアラウドで

今月11日は、ふたたび成蹊学園国際教育センターによる「リードアラウド ワークショップ」、今回は小学3、4年生とその父母が対象。

前回の低学年の時は、生徒だけで29人、親御さんが20人以上集まり、今までで最大の人数による試みだった。ペアにしたりチームにしたり大人数でもひとりひとりが積極的に参加できるようにしたつもりだったが、どうだったろう。試行錯誤は続く。

今回は生徒が17人参加とのことで、ひとまわり小さい。使用する絵本は The Wet Dry Book (by Kate Spohn)。イラストレーターはいわゆる「ヘタウマ」?のイラストを描く人で、カメとヘビを主人公にしたほのぼのしたシリーズを見つけて以来、わたしが ファンになった作家だ。本書ではWetなものとDryなものを、ページ自体をコーティングしたりマット仕上げにして、ツヤ=wetとツヤ消し=dryを視 覚、触覚からも興味を引くようにしてある。

成蹊大学のアメリカ人教授にも指摘されたことだが、このわたしのワークショップ、重要な鍵は選書にある。もともとは無意識的に、今はかなり「確信犯」的に、
1)日本ではあまり知られていない絵本
2)絵のいいもの
3)声に出して読んでおもしろさのあるもの
4)参加者がその精神年齢的にも学ぶところがあるもの
を選んでいる。

翻訳書などで、すでに多くの子どもたちに親しまれているものは、新鮮な発見をワークショップで共有できないので、できるだけ避けている。わたしの性格的 に、「ああ、これ。もう知ってるよ」と言われるのが嫌いなのである。「発見者」としての優越感らしく、少々いやらしいのだが、参加者に新鮮なものを届けた いという素直な気持ちでもある。

絵はもともと好きなので、直感的に「いい」「悪い」を感じてしまうたちだ。その直感で選んでいるので、ご迷惑な話かもしれないが、いいものはいいと信じている。

「英語は聞くことと話すことから始めるとよい」という説があるが、「読み聞かせ」に収まらないわたしのリードアラウドは、実はこの説にもあっている。参 加者自身が声に出して読むことは「会話」の練習でもあり、指導者や他の参加者が読むのを聞くことで「ヒアリング」の練習をしているのである。おまけに、字 を読んでる=read。3拍子そろって勉強になるうえ、勉強らしくなくやれるところがすごい。

ELT(英語学習)の教科書として書かれたものではないので、語学以外の学科やテーマが組み込まれていて、興味がもっと持てる。今回のこの絵本の場合 は、擬声語。たくさんある上、日本との音の聞かれ方が違うという発見ができて、大人の参加者にもおもしろいはず。なぜネコの「ゴロゴロ」と喉を鳴らす音が 「purr purr」なのか?ネコ語は世界共通で、どこでもああやって喉を鳴らしているが、各言語でどうしてこうも書き表し方が違うのか、などなど。

6月のワークショップなので選んだ本でもあるが(表紙に雨とレインコート)、まだ梅雨に入っていないらしい……。そろそろかな。

The Wet/Dry Book
The Wet/Dry Book

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