ブルックリンのネズミたち

ニューヨークの話題のつづき。
 ニューヨークの地下鉄は、治安はよくなり、そのちょっとだけ、すさんだ感じに慣れれば便利だ。24時間休まず運行しているし、パスも使い勝手がいい。ただし、ネズミが図々しい。東京のネズミ、たとえば半蔵門線の巨大なドブネズミも、線路を走っていたりするが、ホームに上がってきたりしない。少なくとも、わたしはそういう場面を見たことがない。だが、NYは違う。
 ブルックリン在住者の証言によると、「いつもホームの上に上がってきて、『黄色い線の内側』で遊んでいる」。代々地下鉄駅に住んでいて、遺伝子情報にプラットホームでの安全が、組み込まれたのかもしれない。

 地下に住むネズミたちの「暗黒の世界」を描いた、重厚なファンタジー、
The Dark Portal (by Robin Jarvis)
は、The Deptford Mice Trilogyの第1話。
ハツカネズミが主人公だが、たくさんドブネズミも悪役で登場する。地下道の暗く湿って涼しい感じが、夏におすすめ。ブッククラブでは、この秋に第2話が配本になる。
 世間はハリーポッター、わたしはネコの戦士Warriorsシリーズばかりすすめているので、たまにはネズミもおすすめしたくなった。
Warriors: The Lost Warrior
Warriors: The Lost Warrior』(ネコの戦士コミック#1)

日本のアニメとマンガ in U.S.A.

 アメリカの日曜日の朝は、アニメTVの時間。NYから一時帰国中の息子情報だが、何と『クレヨンしんちゃん』も放映中だとか。しんちゃんは「shin-chan」その母、マサエもちゃんと「Masae!」と呼ばれているらしい。日本の名前は、以前アメリカではアメリカ名に変えられていたが、オリジナルを重視してくれるようになったようだ。
 また、ヤンキーズの松井の「Matsui」も、息子によればTVアナウンサーが、近頃はちゃんと発音できるようになったという。英語では tsuの発音が難しいので、たとえばTsutomu (つとむ)という名前だとアメリカでは「トム」に、Katsumi(かつみ)は「キャッツ」にされていた。アメリカ人も、やっと他の文化を尊重するようになったのかもしれない。
 ただ、『しんちゃん』では日本固有の文化すぎる部分は、まるまるギャグを吹き替えの内容で変えているとのこと。どのあたりなのか、興味深い。
「ポケモンが日本語なのが、何だかヘン」と息子。『ポケモン』はすっかりアメリカに定着した。

 アメリカの画廊で「日本的」と言うと、「アニメ風」や「マンガ風」を意味する時代になった。「日本趣味」とは、もう漆塗りや蒔絵、障子、行灯、浮世絵などではなくなった。小説は、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫からすっかり、村上春樹になっている(ところどころで、Haruki MurakamiとRyu MurakamiそしてTakashi Murakamiがごっちゃになっているし、「村上」姓が日本にはやたら多いと思われているふしがある)。Natsuo Kirinoも人気。
 Graphic NovelことMangaも英語になった。そして「少女マンガ」からShojoも英語になりつつある。アメリカには「少女コミック」がなかったので、日本の少女マンガがその隙間にすっぽりと入った。もともとcomicsは、図書館にはおかないし、普通の本屋では売っていない。先生も、親も眉をひそめるものだった。でもMangaは、絵本と読み物をつなぐ、少年少女の大切な媒体。本屋でも図書館でも人気が伸びている。
 このマンガ、本屋だったり、出版に関係している日本人なら、知らなければならない必須な知識なのかも知れない。ちょっとわたしには、「復習」と「調査」が必要だ。

区立小学校で英語絵本の読み聞かせならぬ「リードアラウド」

 先日の土曜日、関係している渋谷区立小学校に評議委員として行ってきた。
 この5月に任命されたばかり、この日が「初仕事」。校長先生はわたしの「元生徒」、大人の英会話教室をしているときの優秀な「生徒」さんだった。これから1年、小学校英語教育のことを中心に、わたしがおこがましくも「ご意見番」をする。

「英語の絵本、子どもたちは読み聞かされてもチンプンカンプンなのは確か。ぜひ、リードアラウドをやってください」
と、校長先生と英語クラブの先生はおっしゃった。そこで近々、この小学校で「デモ授業」をすることに決定。24冊絵本を購入して、その本を各クラス持ち回る。生徒ひとりひとりが、絵本を手にしての参加がこれで可能になる。

 そして将来的には英語クラブの先生が、ご自分でリードアラウドの時間を持てるようになっていただけたらと思う。こういった
1)日本人
2)英語担当の教師
3)絵本の読み聞かせを英語にまで広げたい指導者
向けの、わたしの「英語読み聞かせじゃない英語絵本を使った教授法、リードアラウドワークショップ」(7月から6回開催/申込み受付中)に集まっていただけたらなと思う。そして、どんどん子ども達に、小学校側からも「英語好き」の種をまいて欲しい。

英語絵本『読み聞かせ」をしているみなさん、新しい方法「リードアラウド」伝授します

 7月14日に、東京恵比寿で英語の絵本を使って、子どもたちに楽しく英語を学ばせるワークショップを開催する。
「リードアラウドのワークショップ」と称しているが、厳選した絵本を使い、子どもたちの
1)ヒアリング
2)発音
3)会話
4)読解
の力をつける。そして、この方法を成功させると、英語の本好きの子どもたちが育ち、自主的に英語の本を読むようになり結果的に多読する。そして、しまいには知らないうちに英語の実力がついた人に成長するという、夢のような方法!

英語の絵本の読み聞かせをなさっている志の高いみなさんに、「コロンブスの卵」的なわたしの「リードアラウド」の方法を伝授して、ひとりでも多くの子どもたちに英語の本の読書の楽しさを伝えて欲しい。そしてそれが、英語力につながるということを。

ニューヨーク、ブックエキスポそして東京国際ブックフェア

 6月1日から3日まではニューヨークでの国際書籍見本市、ブックエキスポに行っていた。実際に買い付けする書店や卸業者が「お客」で、出版社が主なブースの主だ。わたしは、子どもの本の買い付けと、新刊の下調べが仕事。アメリカ出版界は、秋が最大の出版シーズン、次が春。このブックエキスポで、秋の新刊の顔見せをし受注することが、非常に重要だ。
 Googleもブースを出していて、有料だが本の「中身検索」が出来るようになったことを書店にアピールしていた。本を紹介する公共テレビ局のテレビ番組も、デモを持って来ていた。テレビによる紹介がやはり本の売れ行きに大きく反映するのだ。めぼしい「新キャラクター」や「大人気キャラクター」が見えなかったので、わたしの恒例「キャラクターの着ぐるみと記念撮影」は、今年はなし。米国マネタリスト経済学者で元FRB議長の、グリーンスパンさんは来ていたようだけれど、以前のゴアさんとか、クリントンさんみたいに「会いたい」と思わなかったしなあ。
 「わたしがここに来る意味があるのかどうか。近頃は疑問に思うが、今年は大いに意義があった!」とパウエルズ書店の社長、マイケル・パウエルさんは言った。ブックエキスポの「顔」みたいな方が、そんな疑問を持つのも興味深かったが、今年の「意義」はもっと気になる。大きな成果が、何かあったらしい。アマゾンの「ひとり勝ち」を止められるのは、パウエルズしかもうないのだから……。
 さて、ブックエキスポが終わると7月は東京国際ブックフェア。今年初めてパウエルさんが来場する。7月7日のシンポジウムのパネリストとして舞台にあがる。ボランティアでわたしが通訳をする。独立系書店として、前進を続け本好きに愛されかつビジネスとしても成功させている秘訣を聞く。新刊と古書の併売による品揃えの良さが、おそらくそのキー。安くて、他では手に入らないような「夢のような」本が「ざくざく」あるのは、今までもこのブログで書いて来たとおり。そのパウエルズ書店の社長みずから、その素晴らしい書店について質問に答えて下さるので、みなさんお楽しみに(通訳がヘタだったら、済みません)。