英語絵本「読み聞かせ」vs.リードアラウド

今日5月28日は、2005年以来リードアラウドを続けている、武蔵野市にある私立小学校の1,2年生とのワークショップ。30人ほどの生徒と、その父母(平日なのでお母さんが大多数)なので50人は部屋に集まる予定だ。
この学園は、偶然にもわたし自身の出身校(中学、高校のみだが)で、正門をくぐるたびに懐かしさがこみあげてくる。あ、そうそう、『花より男子』という TV番組の舞台、高校のロケ地のひとつでもあった。ロケの日とワークショップがぶつかったことがあり、見かけない制服の男女がうろうろ本館にいてびっくり したことがあった。

ここでは、「リードアラウドのワークショップ」という呼称を積極的に使っていただいている。主催が学園全体の国際教育センターという機関で、担当が学園 の大学の英語の教授なので、あっと言う間にわたしの「英語絵本読み聞かせではなく、リードアラウドのワークショップを」というコンセプトに共鳴していただ けた、という経緯がある。
「リードアラウド」それはプロによって選ばれた英語絵本を;
1.誰かと一緒に音読すること
2.ひとりで音読すること
3.(生徒自身が後に)誰かに読み聞かせること
これを経験することにより、以下のステップを踏みやすくなる。
1.英語の絵本に興味を覚える
2.何冊も読むようになる
3.絵本から読み物に対象が広がる
そして、多読へ繋がり、英語の実力が培われるのである。これらが、「多読」に力を入れている国際教育センターのプログラムにびったりマッチした。
「英語絵本の読み聞かせ」ではないところが、「イノベーター」であろうとする学園の精神にもあっていたのかもしれない。この学園の気風は、「他とは違う」のをよしとするところでもある。

もうそろそろ口がすっぱくなるのだが、「英語絵本の読み聞かせ」を日本の子どもがされても、ほとんどチンプンカンプンで大人の自己満足だけになってしま う、ということ。代わりにリードアラウドすることで、まずは何となくでも、英語を一緒に「読んだ」という、成功経験を子どもたちに積んで欲しいのだ。

今日の使用絵本は
David Gets in Trouble by David Shannon
これは学校で使用/販売するためだけの特別廉価版だが、今後学校でのワークショップなら、このような版を使えば人数分学校が買い上げるとことも可能かもし れない。予算が少なめの公立でも、ぜひ生徒ひとりひとりが本を手にした状態で、リードアラウドには参加してもらいたい。(本日の私立学園は、全員が本を 買っての参加)。
自分の(その時間だけだとしても)絵本を手に持って、その本の「におい」を嗅ぐこと、その本を独占してその世界に浸れることは、わたしにはまるで夢の世 界に入ることのようだった。おまけに、その「夢」には何度でも入れるのだ……。こんな読書の喜びを、味わって欲しい。そして英語でも読書を楽しめるとい う、喜びを将来ぜひ味わって欲しい。選べる本の種類が、膨大になる喜びだ!

英語絵本の「読み聞かせ」、悩みの種

5月20日、五月晴れの朝、30人ほど(?)の方々が、絵本
How About a Hug?
を片手に「リードアラウド・ワークショップ」のため表参道のクレヨンハウスに集合した。
思いのほか大人のみでのご参加が多かった。と、いうことは?
おそらく、「読み聞かせ」に興味のある方々だとお見受けした。

案の定、ワークショップ終了後、ある参加者に声をかけられた。
「子どもたちに英語の絵本の読み聞かせをしていますが、ちょっと長い絵本だと(How About A Hugを示しながら)、居眠りする子までいたりします。どうしたらいいのかしら、と思って。今日のは、たいへん参考になりました」

そうそう、そうなんです!待ってましたと、わたしは「普通の日本の子に、英語の読み聞かせは、たいていはムリです」と言う。そして彼女は続けた。
「ええそれで、分かりそうなものを選ぶと、本が限られてしまって」

そうそう、それもそうなんです!まったく赤ちゃんのようなものを選ぶか、ESL用に書かれた「教科書」(「副教本」などとして書き直されたもの)になってしまう。彼女いわく、
「今日のこういういいことの書かれた絵本(How About A Hugを指して)を、使えたらいいなあと思っていたのです」

英語絵本の「読み聞かせ」をしていらっしゃる方々へ、わたしがお伝えしていることは、いくつかあるが、この日の彼女へお話ししたポイントは以下の通り。

1)「読み聞かせ」しない。一緒にread along、一部でもいいので読めるようにする、ワークショップ形式にする。

2) 絵本は自分が本当に(文学としても)いいと思ったものを使う。本物(教科書として書かれたものではない)から伝わるものが、必ずある。

たぶん、かなりの数の方々が「英語の絵本でどう読み聞かせをするか」で悩んでいらっしゃると思われる。こんな方々に、すぐに役に立つヒントをまとめて、7月から開催の指導者向け「リードアラウド理論と実践ワークショップ」でお話ししようと思う。

クレヨンハウスでは、『ASAHI Weekly』の取材も受けた。そこでも「英語絵本の読み聞かせをしているのではありません」とお話したが……。

How About a Hug?
How About a Hug?

「リードアラウド」と「読み聞かせ」または「Read aloud]

 最初に、「Read Aloud」と「読み聞かせ」そして「リードアラウド」は違うと明言しておこう。

「Read Aloud」を英語圏では、学習者自身の音読と指導者が読み聞かせることの両方の意味で使う。対して、わたしが提唱している日本人向けの「リードアラウド」は、学習者の音読が主で、指導者による「読み聞かせ」はほとんどない。

 日本語を母国語としている英語学習者、特に初心者に英語の本を読み聞かせたところで、ほとんど理解できないのが現実だろう。英語の本の読み聞かせは、一般的に英語学習初心者には無意味だ。

 だからわたしの「リードアラウド」は、学習者が指導者と一緒に読むこと(read along)と、ひとりで声に出して読む(read aloud)、そして学習者自身が誰かに読んであげることという3種類の音読をさす。受動的に「読み聞かせ」られるではなく、能動的に自分が声を出す「音読体験」を通して読書の楽しさを知ってもらうことを目的としている。このようにわたしは、「リードアラウド」を特別な使い方をしているので、「(c)大島英美」としたいくらいだ。

 まとめ:
「リードアラウド」=1.誰かと一緒に音読すること
          2.ひとりで音読すること
          3.誰かに読み聞かせること

 

クレヨンハウスでリードアラウド

 20日(日)は、表参道のクレヨンハウスでリードアラウドをする。使う絵本は、How About a Hug?

9:45から10:45まで、今回は今のところ15組ほど予約があるらしい。このくらいの人数がいれば、やりがいもある。

 また28日の成蹊学園国際教育センターでのワークショップは、29組!こちらは、David Goes to Schoolなどを使用(非公開)。
お知らせ:7月から指導者向けに「英語絵本リードアラウド・ワークショップ」(全6回)が始まる。第1回 7/14「リードアラウドとは」、第2回 7/21「絵本の力」、いずれも土曜日の10:00から12:30まで。3回目以降は9、10、11、12月に1回ずつ同じく土曜日を予定している。6回で1セッション終わり。場所は恵比寿。その他詳しくはここをご覧ください。ご不明な点はメールまたはお電話でお問い合わせください。

 いつものことだが、たとえ何度か使った本でも、新しい機会が来るたびにどう「料理」しようかと考える。
ディスカッションの時間も設けてあります。一緒に「楽しく英語絵本を読んで、英語を教える」手腕を高めましょう。わたしの知っていることを、すべて公開します。(大島英美)
 さて、クレヨンハウスの場合は、親子連れがほとんど、そして年齢層が低い。いつもの決めごとの他に、この本固有の使い方を、次のように考えている。

 
How About a Hug?
How About a Hug?

1)子ども向けの言葉遣いですすめて行く。

セントメリーズ・インターナショナル・スクールと子どもの洋書店

 世田谷区にあるセントメリーズ・インターナショナル・スクールの、春の恒例カーニバルに今年も出店した。出店するようになって、もう15年にはなるはず。東京のインターナショナル・コミュニティと、東京の子どもの洋書の動向を見る「定点観測サイト」である。
 おおざっぱにいえば、集まるのは外国に関係ある人たちと、外国に興味のある人たち。それが毎年2万人近くここに集う。共通言語は英語。
 
 今年は、天気に恵まれた事と景気回復がやっと人々のお財布にまでやってきたおかげか、まあまあの売り上げだった。
 
 さてここで特徴的な「観測」をいくつか記しておきたい。

1)子どもの本は消耗品と考え、ハードカバーよりペーパーカバーが圧倒的に売れる。
2)複数冊ある本が店先で重ねられている場合、上のものから売れて行く。
3)インド人の親は、父母両方とも熱心に教材を選び、お金を使う。地味で中身の濃い教材が選ばれる事が多い。
4)外国人の親は、子どもが本を乱暴に扱うと叱る。
5)外国人の子どもが値段を聞く場合、「これ、いくらですか」より「これ、何円ですか」と言うことが多い(日本語の場合)。
6)「伝記」がないかと尋ねてくる子どもが、必ず1人はいる。
7)高校生から大学生くらいの日本の女子は二人組で立ち読みする子たちが多く、かなり簡単なものを手に取ったときも「こんなの読めたらいいね」。そしてたいてい買わない。
8)孫自慢のご婦人に、少し値段が高めで英語が難しめの上品な本をお勧めすると、成功率が高い。
9)景気がいいと「クラッツ」という出版社の、デザインのしゃれた手芸・工芸キットがよく売れる(景気回復のバロメーター)。

こんなことが、観察される。