大島@広尾日記#10

26日。
昨日、松井似のDr.Tが「抜糸、どうします?」とほがらかに登場。傷口がかゆいというわたしに、「もう傷口くっついているってことでしょう。とりますか?」ということで、午後5時ごろに抜糸。

真っ黒な太い糸が、マンガに描いた魚の骨のように8針分。横真一文字。右利きの人がハラキリちょっと左にずれた感じ。ヘソに近い方が深そうというか、傷口が生っぽい。この「魚の骨状」の傷の上に、千鳥のように飛んでいるひと傷、これが腹腔鏡を入れた跡らしい。ふくよかな「三段バラ」を育てれば、その「段」に埋没しそう。ま、いっか。

Dr.Hも登場。抜糸後も今のところ問題なさそうなので、次回外来の予約をとり、退院はいつでもOKとなった。組織片などは病理にまわっていて結果はまだ。外来診察の時にはその結果に基づきお話ししましょう、とのこと。「憶測でものを言うのは避けたいので」。そして昨晩決定した。退院は今日26日夜!

週刊B誌のS君から、たまたま電話。わたしのこれまでを話したら驚いて、彼の60歳になる母君も、昨年末ほとんどわたしと同時期に同じような宣告をされたと話だした。でも癌の部位が「治療法が確立されていない」ところ。未だ検査の結果待ち。この「治療も始まっていない状態」のがん細胞を背負った身体が、本人としてはしんどい。細胞分裂がわあわあ進んで自分の身体を蝕んでいるような……一刻も早くやっつけたいのに、という焦燥感だ。ひとり息子というS君の気持ちも、我が息子の重なって、胸に響く。「こんな時に、今や社会性というよりも人の好奇心を埋めるための、バラバラ殺人事件の取材。やっているのが辛い」。そして休みがとれない、と悲痛な声。

昨晩は、我が病室が「花園」に。ふたりのMr.Kからの花、そして美女たちからの花とフルーツ。美女たち(S.I嬢、G.A嬢、M.S嬢、F嬢)の話に「花」が咲いた。ああ、この世も捨てがたい。花と女。ありがとう。

Cynthia Ryrant 作の『The Heavenly Village』を思い出した。
「あの世」にゆく一歩手前にある村。そこで「足留め」をくらった人々の、それぞれの理由は……。

この世のみなさま、退院します。これからも「同居」させていただくことになりました。どうぞよろしく。「ゴルフでもジョギングでも(わたしはしない)、温泉(するする!)も問題ありません」とドクターたちのお言葉もいただきました。完全社会復帰、2月1日にします![:ジョギング:]

The Heavenly Village
The Heavenly Village
 683円
作者:Cynthia Rylant

大島@広尾日記#8

24日。術後4日目。

経過は音楽の好みに表れる?
今更ながら、M新聞の1月1日のカラーページ、バオバブの並木の写真、記事を昨日見て、「環境保護」の学徒だったことを思い出した。記事を書いたMr.K、 文章にロマンティストの感性が出ますね。わたしに「ムーラムーラ(ゆっくり)」というメッセージ?どうもありがとうございました。
手術直後から、イルカ(動物)の声のCD→小鳥と水の音→三線インストロメンタル(複数)→Madeleine Peyrdoux(Careless Love:フランス語なまりの英語のヴォーカル)→OPERA(いろいろ:挫折、まだしっくりのれない)→シャルル・アズナブールここから今朝は一気に、「先祖」返り?Jeff Beck, Doobie Brothersまでいけた(看護師のひとりから「音楽に統一性ないみたい?」とのコメント)雑多な人間です。

こういっている一方で、ライヴァル会社のA新聞社のF嬢。速攻でA誌などお届けありがとうございました。ツルリンお菓子も!もうすっかり「いい娘を持った母親」気分。わたしが?
Kidney Cancer Therapies で検索した結果を読む気が初めてしたのは、「ヴォーカル(ヒトの声)」を聞く気がしたのと同時発生的。ヒトの声にはインフォメーションがのってくるから、苦しい時には重いと感じたのか。
……まあ、まだ弱気なのかな。

世の中のスキャンダル、週刊A誌が最近すごく面白い。ちょっと『噂の眞相』化。熟読。
その「ガン情報」書かれていることで気になるのは、possible complications.

腹腔鏡手術後で「否定」していきたいのは、
ブログをアップしたあと、シャワー、そしてまた読書三昧としよう。傷の痛みが戻らないといいけど。
消化器損傷

血流損傷
The Secret Life Of The Lonely DollDoll: The Search For Dare Wright
The Secret Life Of The Lonely DollDoll: The Search For Dare Wright
肺の細胞損傷

出血
The Lonely Doll
The Lonely Doll

大島@広尾日記#7

23日。
昨日の午前中に、普通より早々と(多分?)3本のチューブを抜く決定をT先生がして下さったおかげで、自由度がぐっとアップ。「元気になりつつある」と実感できて、思い込みの激しいわたしは、さらに元気モード。

昨日の午後の面会時間、2時半に妹が来ると待ちきれなかったように、一緒に1Fの病院直営の「コンビニ」ヘ「はじめてのお買い物」。

今、健常者との一番の違いは(腎臓の数の他に)、咳。これが一番きつい。咳をすると激しく痛くて、涙が出てくる。何気ない咳を、ひとは普段かなりしていることに、改めて気がつく。わたしには「何気ない咳」は今、ない。
思いがけず『Olivia Kidney』で泣いてしまい、ほろりだけではなく、しゃくり上げる嗚咽になったら、辛い辛い。お腹がよじれるほど辛かった。これがきつかったこと第二位。
くしゃみは三番目にきつい。
夜中に起きたら、急にしゃっくりが出て、これもちょっときつかった。第四位。
でもこの程度で、本当にありがたいことです。

感動した『Olivia Kidney』について。オリビアは最愛の兄を癌で亡くし、以後「ひとりごと」が収まらなくなり、カウンセラーに「治療」される身。だがその「ひとりごと」は、兄の魂と交信しようとする試みだった。兄が「煙のように消えた」ことが信じられず、どこかにいるはずとおしゃべりを続ける現世の妹と、応えようにも「周波数」が違ってその声が届かなかった兄。そのふたりの心が、霊媒者のおばあさんのヒントで、最後にやっと繋がった……。嬉しかったが、魂だけというのが受け入れられず、わたしは悲しくなり、うおんうおん泣いたら、ハラキリ部分(7センチ)が痛くて痛くて。こうして書いていても涙が出て来て、おお危ない危ない。

こんなしんみりくる内容だけれど、ニューヨークにいかにもありそうな古いアパートを舞台に、そこの住民たちをユーモラスに活写した本書。同時に、姿を血に飢えた海賊やトカゲに変えられたヒトビトまで登場させて、キラキラと魅力的に光るファンタジーの秀作だ。

今朝からは
The Secret Life Of The Lonely DollDoll: The Search For Dare Wright
The Secret Life Of The Lonely DollDoll: The Search For Dare Wright
をぐいぐい読み出した。

大島@広尾日記#6

19日午後、無事生還。聞くところによると5時間半に及ぶ手術で、家族友人らを随分待たせてしまったらしい。この日、NYの学校に戻る事になっていた息子は、結果を聞けないまま病院から成田に向かった。
朝食、納豆なんてでちゃって。納豆好きは、ぺろっと食べました。卵焼きだけは、カチンとした焼き方だったので、食欲が出ずに残した。

19日は、朝8時に手術着に着替え、8時半に車いすで3Fの手術室(大小10室ほどあるらしい)前まで家族と行った。日本人化した外人夫は、招き猫のような手のしぐさをしながら「イッテラッシャイ、がんばって」。アメリカンでもあり、最近は『硫黄島からの手紙』に感動を受けたらしい息子は、敬礼で送り出してくれた。手術患者が数珠つなぎに並ぶ廊下。わたしの真後ろは小学1年生くらいの女の子。わたしよりずっと立派にしているようで、わたしも姿勢をただす。
そして、健康になった証拠にコーヒーが飲みたくなった。F&Fのフレンチモカ。このタイプとしては美味しく入れられる。

先日会った麻酔医、ちょいとファンキーな若者があらわれる。手術帽をちょっとはみ出し気味にかぶっているところがファンキー?「おっ!大島さん、ずいぶん見かけが違いますね(やつれてる?おどおどしている?)。こないだお会いした時は、アーティストって感じだったけど」と言われても……。
音楽は、熱のあるときは「イルカの声」CDで十分だったが、今日から三線OKの気分。おはやしが入って、おめでたモード。
この人の腕頼りの硬膜外麻酔注射、嬉しい事にその前に皮膚の麻酔をチクン程度にしてくれてからだったので、「ずしん」と圧力を感じただけだった。また点滴の管についた針は、輸血に備えて普通の「3倍くらい」という説明。かなり恐ろしく太いらしい。「まあ、あとで見て下さい」。
そして、とうとうもっと元気の証拠、このブログ。

では、ここまでで続きは今度。