絵本朗読の磨き方、これで!〜リードアラウド研究会

Fortunately

朝日カルチャーセンターで「声に出して読む英語絵本」という講座を担当している。
このところ、受講生の朗読が、回を追って上達しているのを実感する。

先日は『Fortunately』の仕上げ。
この日、特に注力したのは、絵本リードアラウド認定講師講座でも演習を続けている「Characterization(キャラクター造型)」

即効を狙って、具体的にしたのが功を奏したかも?
本書の語り手であるナレーターのキャラクターを3パターン用意した。

  1. ユーモラス
    「こんなことありえないよね」と聴衆に共感を求めながら、「でも面白い展開でしょ?」と悪ノリして楽しませるコメディアン風キャラ
  2. 達観
    人生を知る哲学者風で、高いところから事象を見ているキャラ
  3. シリアス
    心配性の母のようなステレオタイプ。本気で心配し、喜ぶ。息子のことが誇らしい。近視眼的な愛が溢れるキャラ

この3パターンをみんなで練習し、調整後、
ひとりひとり、どのキャラクターのナレーターかを決めて読んでもらった。

驚き!
単調さや、行き所のない、わけがわからない情感が消えて、すっかり語りになったではないか。
fortunatelyなことと、unfortunatelyなことが次々起こる物語の展開を、面白く、そして興味深く聴衆に語りかけ、飽きさせない。

みなさんの表情も、晴れやか。
「楽しくなっちゃいました」
「いろいろ、見えていなかったものが見えてきました」
嬉しくなる感想をいただいた。

『The Little Island』をマダム達と〜キッズブックス英語スクール

90歳前後のマダムと、絵本を読む会を、ある高齢者施設で受け持って
もう4年以上。

何冊も絵本を読んできたが、新しい本を紹介するのがとても楽しみだ。

一冊一冊、みなさんが目を細めて、
「なんて綺麗な絵」
「ああ、可愛らしい」
「子どもの本と思えない」

などなど、ため息交じりでページをめくる。

絵本にとっても、幸せな時間だろうと思う。

さて、今回は、1947年にコルディコット大賞を受賞したこの一冊。

「Margaret Wise Brownという数々の絵本を著し、早逝した作家で…」
と言いかけたところで、ひとりが声を上げた。

「アメリカにいるときに、亡くなった記事を読みました!」

驚いた。

彼女は英字新聞の仕事に携わっていた人とは知っていた。
だが、伝記でしか知らないM.W.ブラウンと、同時代にアメリカに生きていた人で、その死亡記事を覚えていたということに、ただ感動してしまった。

朝広げた新聞に、ブラウンの死亡記事が載っているのを見る、今ここにいる90何歳かの女性が若かりし頃のイメージが浮かぶ。

こうした人生の先輩たちとの時間が、とても好きだ。

「この本の続き、あるの?」said中学生〜キッズブックス英語スクール

小学生低学年時からリードアラウドで英語を学び、中学生クラスの今中学最終学年の生徒。

思春期の到来と伴に、リードアラウドらしい読み方は少々影を潜めたが、『The Little House』など読み応えのある絵本も、それなりに内容を理解しながら、棒読みではなく、ほぼFluent reading(一歩手前くらい?)で読める。

英検準備などで、多少遅れ気味だった講読時間だったが、『Ghosts』を先日読み終えた。

英語圏の同年代が楽しんで読む本を、日本の同年代が「楽しんで」読むのはなかなか難しい。

だが、この本では、それが出来たようだ。

この日、わが生徒は英検初戦で高得点合格で気分も上々だったこともあって、言葉数が多く、この発言を得られた。

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「この本、続きあるの?」

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つまり、続きが読みたい、というメッセージだ。

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「ここで、終わられちゃ、気持ちが悪い」

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よーし。
読書のツボにはまってくれたようだ。

こういうことで、指導者というもの、ずいぶんといい気分になれるもの。
ああ、ありがたや。
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ところで、この本。英語圏ではグラフィックノベルと呼ばれるジャンルだが、日本ではコミックか。

日本で「コミック」というと、「お勉強」の仲間に入れてもらえないようだが、英語圏の英語科、図書館など、内容にお目通しがあるが、ちゃんとそれを通過したグラフィックノベルなら、読書として勘定に入れてくれる。
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『Ghosts』は、ミレニアム世代の作家が自分の中学生時代をイメージして書いて、ベストセラーになったもの。

やはり、中学生のツボが押さえられているだけあって、完全に読み取れていないにしても、わが生徒、見た所85%くらいの理解が出来ていて、それで飽きずに読み通せ、おまけに「おかわり」のリクエストまで出た。

飛ばし読み、要所要所の「とばし指導」も、グラフィックノベルならやりやすい。
中学生レベルになった生徒との対面授業では、グラフィックノベルも活用していこうかと思う。

英語えほん千夜一夜第20夜~Bark, George

Bark, George文・絵Jules Feiffer , $16.99 レクサイル指数:  目安のレベル:初級

 ニューヨーク市の伝統あるフリーペーパー、『The Village Voice』。1986年、その紙上を飾る刺激的でウィットに富んだ漫画でピュリッツアー賞を受賞した漫画家が、本絵本の作者だ。「Anxiety in the big city(大都会で感じる不安)」を作品のテーマにすることが多い。その漫画同様、刺激とウィットに溢れる本書だが、テーマにも共通するものがありそうだ。

 NYの一等地、五番街を散歩していそうないかにも「セレブ」風の母犬が、お坊ちゃん然とした息子ジョージに、誇らし気に「吠えてごらんなさい(Bark, George)」と言う。ところが、息子の口から出たのは「Meow」。

「ジョージ、『ニャー』は猫なの。犬は『ワン』ですよ、さあ」と、再び促すと「Quack-quack」。「『ガーガー』はアヒル。さあ犬らしく」と辛抱強く待つ母。でも3度目に「Oink」と聞いた時には我を忘れ、目をむき出し歯ぎしり。「『ブー』は豚、犬は『ワン』」。

4度目に「Moo」を聞いた母犬は、頭を抱え獣医に息子を診てもらうことに。そこで自信満々の獣医が、ジョージの口に手を入れると……。あっと、猫が出て来た。さらに奥に手を入れると、アヒル。そして豚。それから、必死の形相のジョージの口の奥の奥から獣医が引っ張り上げたのは、そう、牛だった。この後、やっとジョージが犬らしく「arf」と吠えて、母犬も獣医も狂喜して……と、ここまででも子どもに大受けする本書だが、このまま予定調和で終わらない。

 獣医のところから、大都会の雑踏を通って帰宅する途中、母犬は犬らしくなったわが子を自慢したくて、再び「Bark, George」と言う。さあ、ここでジョージはどう吠えたか?

最後のページを読んだ子ども達は大騒ぎ。ピンときてニヤニヤする子、「なぜ、なぜ?」と事態が飲み込めない子、ジョージのお腹を透視するように見て自説を展開する子などなど。そして、大人の頭にはAnxiety in the big city—このフレーズがよぎる。

 動物の鳴き声は英語でどう表すか。英語入門・初級者にはこれだけでも、また表情豊かな絵だけでも楽しめる本書。加えて、物語のひねりが大人をも楽しませる、超名作!

『Frog and Toad』を高齢者施設で読む

月1回の高齢者施設の3人のマダムとの英語の時間、始めてから4年以上になる。

平均年齢90歳+の3人が、ひとりも欠ける事なく元気でシャープで、ずっと続いているのが本当に素晴らしい。

教材は、もちろん絵本。

でも、3人中ふたりは、英字新聞の元記者とカナダ領事館に元職員。

そんな英語の元プロを交えていることもあって、特に中身の濃いものを厳選したきた。

そして、いつも嬉しいのは、こんな声が聞ける時。

「なんていいお話でしょう」

「絵本ってこんなに、大人にも考えさせるものなんですね」

「内容が深いですね」

「まあ、心を洗われるような奇麗な絵」

みずみずしい感性で、しみじみと、時にはあでやかな喜びの声を聞かせてくれること。

「今更、絵本なんて」
「わたしたちに失礼よ」

などと思われはしまいか心配したのは、杞憂だった。

最初は、「声を出す」ということに特に惹かれて始めた人も、思いがけずに絵本に文学や芸術の香りをかいで、続けていただけているようだ。

英語そのものの難易度はいろいろ。

他のリードアラウド・クラスの選書と一番の相違点は、文字の大きさの考慮。

3人ともに一番悩んでいるのが、視力の衰えなのだ。

字が小さいと、とても読みにくく、読み間違えが増える。

そんなことにも気がまわらなかった初期の頃は、わたしはみなさんの読み間違いを「英語の間違い」と思ったことも。
大変失礼なことをした。

文字が小さいのは、選外。

今では、
文字が大きいもの、

行間が広いもの、

と目に優しい本を心がけている。

また、
選書の第二のポイントは、
文学・芸術性。

ただ英文を多読することには、みなさん興味がない。

ゆっくり英語を味わう。

しっかり声を出す。

なので、

韻やくりかえしの音を楽しむ本、

物語の展開の面白さを堪能する本、

子どものかわいらしさを改めて感じ入る本、

挿絵の詳細へのこだわりや、色彩や造形の美しさを味わう本、

異文化への目を開かせてくれる本などなど。

これまでの選書、すべてに目を輝かしていただけたのが、わたしの勲章だ。

さて今、

まさに読んでいるのは『Frog & Toad』。

文は多少長いが、いくつかの章に分かれているので、息切れしないちょうどいい長さだ。

そして、文字の大きさ。

十分に大きい!

「大人に役立つこと、友情について学べますねえ…」

「今でも、役に立つわね」

は、昨日読んだ章のみなさんの感想。

よかった、よかった。

みなさん、これからもどうぞお元気で、ご一緒しましょう!